日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「ことばの使い方」で、広告や企業の印象が変わる

2021-04-20 19:43:20 | マーケティング

しばらく前に、シャープのあるTwitterが目に留まった。
「コロナ禍でふんばる飲食店さんへ」というTwitterだ。
このTwitterについて、毎日新聞が記事を掲載している。
毎日新聞:コロナ禍でふんばる飲食店さんへ シャープが粋なプレゼント企画

企画そのものは、飲食店がシャープのtweetをretweetすると抽選で、シャープ製の空気清浄機が当たる、という販促キャンペーンだ。
とはいえ、「コロナ禍」で経営が厳しい状況が続く飲食店にとって、販促企画であってもこのようなプレゼントキャンペーンは嬉しいだろう。
設備投資したくても、なかなか空気清浄機購入ができる経営状況ではない、という飲食店が多いのでは?と、想像できるからだ。

まして、第4波が起き、全国各地で「まん防(新型コロナまん延等防止重点措置)」が適用される自治体が増えるという状況では、飲食店のみならず「空気清浄機」は必須品となっている。
そのような状況の中での販促プレゼントキャンペーンは、効果的だろう。
ただそのようなキャンペーン内容だけではなく、キャッチコピーそのものが飲食店だけではなく今の日本人の心情を的確につかんでいるように思えるのだ。

この1年、私たち生活者は「国民の良心的行動」によって、「コロナ禍」拡大防止に努めてきた。
その時、散々言われた言葉の一つが「がんばれ」だったように思う。
しかし1年という時間「がんばれ」という言葉に、押しつぶされそうになりながら、なんとかやってきたがその先が見えない、という状況にあるのが今という時だ。
むしろ、シャープがキャッチコピーとして使った「(何とか、ギリギリ)踏ん張っている」というのが、生活者の心情のような気がするのだ。
「頑張る」のではなく、「土俵際ギリギリのところで踏ん張っている」という生活者の気持ちをすくいとることで、高い共感性を呼び、飲食店以外の業種の人たちに対しても、一つの「エールを送る」ことばとなっているのだ。
逆に「踏ん張りがきかなくなった」時は、総崩れになってしまうという危険もはらんでいる、というようにも受け取れる。
これは、シャープが訴える飲食店だけではなく、現場の医療関係者はもちろん、生活者全体に言えることかもしれない。
果たして、の危機感を感じ取れる政治家は、どれだけいるのだろう?

少なくともこのキャッチコピーで、シャープという企業が生活者の側にいて、一緒に「コロナ禍」に立ち向かっている、という印象を与える事に成功している。
「ことば」の使い方一つで、その広告や企業に対するイメージが変わる、という好例だと思う。



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