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日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「セブンの買収劇」は、どうなるのか?

2025-07-17 19:57:56 | ビジネス

昨年、話題になった「カナダの会社による、セブンイレブンの買収」という話。
どうやら、交渉がまだ続いていたようだ。
日経新聞:セブン攻防後の続く市場圧力 カナダ社が買収撤回、問われる成長戦略 

確か、買収を打診していたカナダ社は企業規模でいうなら、セブンよりも小さく、この話が出た時には「いくら円安とはいえ、小が大を飲み込む」という印象のある、買収話だったような記憶がある。
その後、創業家なども加わり、セブンの買収話は混迷しているような印象があった。

確かに、コンビニの存在は今や「生活インフラ」の一つとして考えられ、特に強みを発揮するのが「災害時」だ。
もちろん、スーパーも「生活インフラ」の一つなのだが、災害時となった時スーパーは被災規模も大きく、一時的とはいえ地域における「生活インフラ」の機能が止まってしまう危険性がある。
それに対して、コンビニは規模が小さく、主力の商品の中には「ホットメニュー」と呼ばれる店内調理されるモノや、保存性の高い食品が多い。
商品の種類や数では、スーパーにはかなわないが、その機動性という点では、コンビニは十分その機能を果たしている、ということが大規模災害が起きる度に、認識されるようになってきた。

そのような一面があるのだが、コンビニ間での熾烈な市場獲得が繰り広げられている、というのも事実だろう。
なにより、コンビニそのものの経営がフランチャイズ制なので、店舗オーナーの経営手腕によって随分変わってくる、ということもある。
とはいえ、セブン・イレブンはコンビニ業界の最大手として、君臨してきたし、海外展開にも積極的だった(という印象がある)。
そのコンビニ大手が、買収という状況になっている、ということは日本の小売業全体の問題でもあるような気がしている。

コンビニの話ばかりしてきたが、実はこの買収話は「コンビニエンスストア―、セブン・イレブン」という問題だけではない。
記事の見出しを見てもわかる通り、「セブンの買収」ということは、「セブン&アイホールディングス」全体の話でもある、ということになる。
その中には、スーパーのイトーヨーカドーも含まれているはずだし、ファミレスのデニーズもあるはずだ。
イトーヨーカドーから始まった企業ではあるが、今やイトーヨーカドーよりもセブン・イレブン(=コンビニ)の方が、収益が多く企業の中心となっている。
まして、現在のセブン&アイホールディングスの中には、金融業となる事業分野も含まれるようになった。
これは、イオンにも言えることなのだが、今や小売業だけで企業が成り立っている時代ではない、ということでもある。
もし、セブン&アイホールディングスが、外資に買収されるとなると、日本の小売業にとっては不安要素が高まるのでは?という気すらしてくる。

そう考えると、巨大化し複合的事業を展開するようになった小売業は、今後買収劇に飲み込まれないようにするための経営戦略が、必要になるのでは?
特に日本の生活者は、「産地・安全・安心」に高い意識と価値を持っている(ように感じる)。
とすれば、ある程度の戦略が見えてくるような気がするのだ。