朝日新聞のWebサイトに、「現実は、こんな感じだろうな~」という記事があった。
朝日新聞:増えた共働き、でも収入は伸びず…データから見た家計の変化
衆議院解散直後に、「韓国よりも賃金が低い日本」という内容の記事が、Yahoo!トピックス等に取り上げられていた。
J-cast トレンド:日本の平均賃金今や韓国より低い 過去30年間で給与が上がらない裏側
過去30年間=バブル経済崩壊後と考えると、この間には「超氷河期」と呼ばれた新卒者の就職難があり、その「超氷河期」の新卒者が今や中年と言われる年齢に達し、就職できず、そのまま引きこもってしまった人たちのことを「8050問題」と呼ばれるようになってきた。
いつしか「超氷河期」と呼ばれた就職難は、就職活動そのものの一つとして捉えられるようになり、「就職できればブラック企業でも…」という意識に、変わってきたのでは?と、感じるようになってきた。
朝日新聞に掲載されているデータからもわかるはずだが、女性が結婚後も仕事をする最大の理由が「結婚後も仕事をしなくては生活が成り立たない」へと変わってきているのだ。
以前、女性雑誌がこぞって取り上げたような「キラキラ輝くビジネスウーマン」等という、華やかで自己実現のために仕事をする、という女性等ほんの一握りになっている、というのがこのデータからもわかるはずだ。
にもかかわらず、何故か「モデル世帯」と呼ばれる「サラリーマンの夫・専業主婦の妻・子ども2人(未就学~小学生)」を想定して、様々な政策を作ってきた。
随分前から、「そのような『モデル世帯』は、崩壊している」と指摘されていながら、「モデル世帯像」を崩すことなく、考えられてきたのだ。
実際、この10年ほどで急激に増えた世帯は「単身者世帯」だと言われている。
「単身者=未婚者」とは限らない。
大多数は、パートナーと生き別れた高齢者世帯なのだ。
もちろん「未婚者」も年々増えている事実はあり、「未婚者」自身も高齢化している、ということも考える必要があるだろう。
他にも、離婚等により「親と子ども」という2人世帯も増えている、という点だ。
この場合、かつては「母親と子ども」と考えられていたが、「父親と子ども」というケースも増えているはずなのだ。
とすれば、福祉という視点で考えても、これまでのような「家族の誰かが高齢者の介護者となる」という考えは、絵空事になってしまう。
事実、「ヤングケアラー」と呼ばれる、10代の介護者が社会的問題となりつつある。
現実に目を向ければ、「モデル世帯」と呼ばれる「世帯」は既に過去のものであり、現実に即したものではない、ということがわかる。
とすれば、選挙公約で話している内容が、「モデル世帯」を対象として考えられているのか・否かということも読み解く必要がある。
何より政治家の多くは「公約は公約であって、現実的な政策ではない」と嘯く傾向がある。
選挙戦が始まった頃、各政党は「分配」ということをキーワードにしていた。
とすれば、その「分配」とは「何から何を誰に分配するのか?」そして「分配する財源はどうするのか?」ということを明確にしなくては、現実的な政策とは言えない。
そのようなチェックも、有権者は必要だろうし、この30年間のツケを払う覚悟がある政党を選ぶ必要があると思う。