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最新のテクノロジーだから、使い勝手が良いわけではない

2019-09-20 22:24:27 | ビジネス

今日、「高齢者の健康」というテーマの市民講座に出かけた。
市民講座というよりも、コーヒーを飲みながら講師となる大学の先生が、ご自身の研究テーマを話すという、気軽なものだ。

そのお話しの中の一つに「認知症」があった。
多くの人にとって「認知症」と言う言葉そのものに興味がありながらも、自分はなりたくない!という気持ちが強いのではないだろうか?
世界中の製薬会社では「認知症治療薬」の開発を進めていたが、治験の結果思うような成果が見られず、撤退を決めたという話もあった。
週刊現代:世界中の製薬会社が次々と撤退「認知症の薬」はやっぱり作れないのか

だが、今分かっていることの一つに「人と接する機会が多いと、認知症になりにくい傾向がみられる」ということが、分かってきているようだ。
そのような「機会を阻む要因」の一つとして考えられているのが、「聴力の低下」だという。
聴力の低下により、周囲との会話が分からなくなり、それが人と接すること(=外的コミュニケーション機会)を阻み、より孤独な環境に陥りやすい、ということのようだ。

確かに、社交的な人、何等かの仕事を持ち続けている人は、高齢になっても若々しく、行動的で好奇心などもあり「認知症」そのものとは縁が無さそうだ。
もちろん「認知症」と言っても、様々なタイプ(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳疾患系認知症などなど)があるので、外的コミュニケーション機会が多ければ、認知症にならないと言い切れるわけではないと思うのだが、全体的傾向として「外的コミュニケーション機会」は関係があるのでは?ということらしい。
となると、上述した「聴力の低下」は補聴器などの道具によって、カバーできる問題ということになる。

ここで問題なのは、聴力の落ちた高齢者にとって「最新テクノロジー」の小型補聴器というのは、高額な割りに使い勝手が良いとは言い切れない、という話だった。
「最新テクノロジー」の小型補聴器というのは、とてもコンパクトで「補聴器をつけている」とは分からないものらしい。

見た目もスッキリ、コンパクトで良いはずなのだが、視力も落ち指先の動作も若い頃のような訳にもいかず、小型乾電池を入れ替えること自体が難しい、という問題があるようなのだ。
日常生活を快適におくるための「補聴器」が、逆に快適でないツールになってしまっている、というのだ。
もちろん、「補聴器」を必要としている方は高齢者とは限らないので、最新テクノロジーを搭載した小型補聴器のほうが便利な方も、たくさんいらっしゃるはずだ。
ただ、これまで「補聴器が必要」とされてきた聴覚障害を持った方以外の、「高齢者」という新しい層が増えている、ということなのだ。

とすれば「高齢者にとって使いやすい補聴器」という市場を考える必要がある、ということでもある。
お話しをされていた先生は「旧来型の(安い)耳掛け式補聴器」が、一番使い勝手が良い、という趣旨の話をされていたが、とすれば「イヤーアクセサリー」としての「耳掛け補聴器」という考えも必要になってくるだろう。
何故なら、現在の65歳以上の高齢者は、日本の人口28%以上を占める大規模な市場だからだ。

「最新のテクノロジー」ではなく「使う人に寄り添う道具」という発想が、これから先の日本の高齢者社会には必要な気がする。






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