日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「違う」ことを認め合う

2018-04-08 20:50:45 | CMウォッチ

今日の朝刊に、資生堂の企業広告が、掲載されていた。
資生堂:LOVE THE DIFFRENCES.

実は、この広告を見た時思い出したCMがあった。
随分前のAppleのCMだ。
Apple CM:「Think Different.」
このCMは、放映されたときも相当人気の高かったCMだったので、覚えている方も多いと思う。
ナレーションは、ジョブス本人と言われている。

ナレーションを聞くと「Crazy」と言う言葉が、幾度となく出てくる。
この場合もちろん「気が狂った」という意味ではなく、「並外れた情熱などを持っている」と解釈をしたほうが良いだろう。
だからこそ「Crazyな人」は、社会を変えることができる、という意味になるはずだ。
世間一般(というべきか?)とは「違う考え方をする」ということこそ、社会を変える力となる、ということだろう。

それに対して、資生堂の「Diffrences」の意味は、どちらかと言えば「多様性」という意味だと感じている。
「多様性」ということを大切にする企業でありたい、という企業メッセージだと思うのだが、「多様性」を認め合うことは、とても難しいことなのでは?という気がしている。

最近よく耳にする言葉の一つに「空気を読む」があると思う。
昨年からの流行語「忖度」ということになるかもしれない。
そのような社会的雰囲気の中で、あえて「違いを認める。多様性のある企業」という言葉を、企業メッセージとして使うということは、それだけ息苦しい社会になってきている、ということかもしれない。

そして「多様性」あるいは「他者と違う」ということを、認め合う社会に大切なこととは何か?という問いかけのような気もするのだ。
「他者を認め合う」ということは、実はとても難しいことだと思う。
何故なら「相手を尊重する」ということが根底にありつつ、「自己を確立しつつ、自分自身を尊重する」ということが重要だと思うからだ。

「自己を確立する」というと、昨今流行り(?)の「セルフブランディング」を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれないが、全く違う。
そもそも、人ひとりひとりがの存在が「特別」であり、「私は、〇〇な人」というような枠を、自分自身ではめ込むような「セルフブランディング」などは、必要ないと思っている。
むしろそのような「セルフブランディング」は、足かせになってしまうのではないだろうか?

「他者を認め、自分自身を尊重する」ということは、一朝一夕で身に付くものではないし、このような文を書いている私自身もまだまだだ。
だからこそ、その難しさに挑戦する意味があると思う。
何故なら「枠からはみ出る=社会の常識を疑い、挑戦をする」ということは、とても勇気のいることだからだ。
その視点で考えると、この広告はAppleの「Think Differncent」と通じるところがあるようにも感じている。

「Differnces」の意味は、言葉を変えた「挑戦」であり、「変革=イノベーション」企業でありたい、というメッセージなのだと思う。