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経済が政治の下請け?

2017-11-02 19:30:47 | アラカルト

朝日新聞に、自民党の小泉進一郎氏のインタビューが掲載されていた。
朝日新聞:小泉氏「このままなら自民党必要ない」政策決定巡り

このタイトルだけを見ると「自民党という政党が、政策決定をする時に必要が無い」と、読み取れそうだ。
記事の内容を見ると、決して自民党という政党が、必要ないわけではなく「政策決定」を論議する順番が、間違っているということを、言っているようだ。

先日行われた衆議院選挙では、突然安倍さんが「教育の無償化」を言い始めた。
余りにも突然のことで、同じ自民党内からは「富裕層の子弟に対する教育の無償化は、考えられない」という、発言もあったように思う。
現在問題になっているのは、
1.OECDの中で日本が、子どもの教育に対してお金をかけていない。
 日経新聞:教育への公的支出、日本また最下位に 14年OECD調査
2.子供の貧困による、教育の不十分
 朝日新聞:日本の「子どもの貧困率」OECD加盟国で10番目に高い
などがある。

一方、「お受験」という言葉に象徴されるように、都市部では大学まで一貫校の私立学校へ入学させるための「受験熱」が高い。
小学校入学前から始まり、そのピークとなるのは中学受験だろう。
往々にして、このような「受験」ができる子供たちというのは、経済的に恵まれた環境にある子供たちだと言って良いと思う。
「教育の格差」が、親の経済力の格差による問題になっているのだ。
その傾向が、ここ20年ほどで顕著になってきている、ということが大きな問題なのだと思う。

このような、社会が抱える大きな問題を選挙直前に、政策として総理が言うことに対して、苦言を呈しているというのが、今回の記事の大筋だろう。

と同時に、その財源として企業に3千億円のお金の拠出を要請したコトに、言及している。
安倍さんが、民間企業に対して「賃金アップ」を要請したのは、記憶に新しいところだろう。
それに続いて、今回は教育無償の財源として3千億円の拠出の要請というのは、いかがなものだろう?
小泉氏は、「子ども保険」という名前で、社会保障費の値上げにより、国民から広く教育の為の財源確保を訴えてきた。
その小泉氏からすれば、寝耳に水のような拠出要請の発言だったに違いないだろう。
だからこそ、企業への拠出に対して違和感を感じたのだと思うのだが、小泉氏の発言は安倍さんの思いつき政策だけにとどまらない。
むしろ、最後の「経済が政治の下請け」という言葉にこそ、問題を提示しているような気がするのだ。

日銀の金融政策など、政府が経済政策を担う部分は少なくない。
しかし、実質的な経済活動の中心は企業の自由闊達な活動だろう。
企業が得た利益から、税というカタチで国の財政の一部を賄い、財政をいかに必要なところには厚く、そうではないところにはそれなりの予算配分をしていくのが、国の仕事の一つであり、国会議員の重要な仕事でもある。
財源となる税以外のことで、国から企業に対して様々な要請をするのは、企業側として苦言を呈す必要のある部分だと思う。
小泉氏の言う通り、政府の言うことに従うだけの企業ではイノベーションなどは、起こるはずもない。

その意味で、今回の小泉氏の発言は政治という部分だけではなく、経済という視点で考えても、的を得ているような気がする。