日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

便利な機能に支配されそう・・・Amazonの「予測出荷」

2014-01-20 19:30:51 | ビジネス

Yahooのトピックスを見ていて驚いた。
Amazonが「予測出荷」というシステムの特許を取得したという。
TechCrunch JAPAN:Amazon、「予測出荷」の特許を取得 ― 注文される前に商品を出荷

「予測出荷」とは、何とも大胆な発想でビジネス化出来れば、ある意味凄いビジネスモデルとなるかも知れない。
特に「忙しい!!」を口癖の様にされている方にとっては、「自分の欲しいものを、こちらが選ばずとも手配をしてくれる」のだ。選ぶ手間が惜しい人にとっては、何とも嬉しいサービスかも知れない。

しかし、私はこの様なサービス、システムは必要無いと思っている。
と言うよりも「気持ちが悪いサービス」という気がしている。
なぜなら、「自分の欲しいもの」など、自分でも案外わからないところがあり、店頭で商品を見て「ピン!」と感じるモノがあったり、商品を実際手に取り、じっくり(と言う程ではないかもしれないが)自分の財布と相談をし、検討をすると言うことも「買い物の楽しみ」だとおもっているからだ。
それが例え通販であっても、ネットなりカタログなりを見ながら「ウ~~~どうよ、これ欲しい?」と自問自答している時間は、店頭で買い物を楽しんでいる時と同じ様に楽しい時間でもある。
その楽しみだけではなく、「欲しい商品を予測する」というコトは、「自分の心」というか「気持ち」を覗かれているようで、気持ちが悪い。

もう一つ感じることは、Amazonは自分達のもっているデータに相当の自信があるようだが、私のところに送られてくる、Amazonからのお勧め商品リストは、自分が欲しいと言うモノに当たったためしがない。
仕事で購入した本、随分前に出版され書店で探すことができなかった趣味の本・・・。
「本」といっても、購入する時には様々な理由があって購入をしている。
これは、何も本だけではなくAmazonが扱っている日用品からレジャー、IT商品など様々な商品に当てはまるコトだと思う。
それだけ、思考や嗜好、志向は一人の人間であっても違うのだ。

もう一つ懸念するコトが、「勝手にAmazonが送ってきた商品が、気に入らない場合」だ。
当然、送られてきた人は「返品」をするだろう。
その「返品」にかかるコストは、どこが負担するのか?と言う点だ。
Amazonが勝手に送ってきた商品なのだから、受け取った側が返品送料を負担するのは、おかしい話だ。とすれば、Amazonが返品送料を自社負担をする、と言うことになるだろう。
それだけでは無い。
返品を受け付けたら、返品後の処理という作業がまっている。
梱包を解き、再び元の場所へ戻す・・・この手間を機械任せでするにしても、機械を動かすコストはそれなりに発生する。

一見効率が良さそうなシステムであっても、決して効率の良いシステムだとは思えない。
ITの進化は、とても素晴らしいと思うしそれを活用することで、社会に様々なイノベーションが生まれてきた。
でも、人の気持ちや心に関わるコトにまで、ITが関わるコトはできないのでは?
少なくとも、今のAmazonのお勧め商品リストを見る限り、この「予測出荷」というシステムは意味が無いと思う。