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白いたまご-新しい「鶏卵ブランド」となるか?玄米たまご・「こめたま」-

2009-11-13 21:22:55 | トレンド
今日、本屋さんで立読み(「オイオイ!買えよ」と言う、ツッコミはナシでお願いします)していたら、気になる記事があった。
記事というよりも、掲載されているモノが気になったのだった。
それが、今日のタイトルとなっている「白いたまご」だ。

「たまごって、白いんじゃない?」と思われるかも知れない。
「イヤイヤ、最近は『赤玉』といって、赤い殻のたまごもあるし・・・」と思われた方もいらっしゃるかも知れない。
だが、今回の「白いたまご」というのは、黄身が白いのだ。
厳密に言えば、「白い」のではなく「レモンイエロー」。
ただ、調理をすると白っぽくなってしまうのだ。

その理由は、鶏が食べる飼料にある。
以前、テレビ番組か何かで「たまごの黄身は、飼料の色によって変わる」というコトを聞いたことがある。
最近の生活者の志向が「オレンジがかった色の黄身」というコトで、鶏卵農家はあえてオレンジがかった黄身ができるような飼料を与えている、と言う話も聞いたことがある。
それを応用すると、イロイロな色の黄身のたまごが出来るという話もあった。
その話を聞いたとき、ある種の気味悪さを感じたのを覚えている。

そして今回の「白いたまご」というのは、玄米を飼料として与えられた鶏卵なのだ。
その名も「こめたま」という。
雑誌の記事を読んで、だいぶ前からイロイロなところで取り上げられ、話題になっていたらしい。
そして、美味しいだけではなく健康にも良いらしい。

この「美味しくて、健康にも良いたまご」と言えば、既にブランド化に成功した「たまご」がある。
ご存知の方も多いと思うのだが、「ヨード卵・光」だ。
もしかしたら、今の「赤玉・オレンジ色の黄身」というたまごが定着したキッカケは、この「ヨード卵・光」だったかも知れない、と思うほど一般的になり、たまごのブランド化に成功した商品だ。

それまで「たまご」は「たまご」であって、そこにブランドはなかったし、ブランド化する必要もなかった。
ところが、たまごの栄養を強化しブランド化に成功したのが「ヨード卵・光」だった。
「ヨード卵・光」が昔ながらの鶏卵と大きく違ったのは、その飼料だった。
ヨードを多く含む海藻類などを飼料に混ぜた事で、より高い栄養を持った鶏卵を作ることに成功したのだった。

その逆を行っているように思えるのが、今回の「こめたま」なのだ。
私が子供の頃、農家では鶏を飼っているトコロがあった。
そのような所で飼われている鶏は、主にお米を食べていた。
その頃の鶏卵を再現したのが、「こめたま」というコトになるだろう。
だがこの「こめたま」、昔の農家のたまごを再現することが目的ではなかったようだ。

数日前「日本の自給率40%は、低いのか?」という記事が、Yahooのトピックスに掲載されていた。
日本の「自給率40%」という数字は、「カロリーベースでの数字」であって、現実的な数字ではないと言うのが、その記事の指摘だった。
実際、牛乳も鶏卵も生産と言う視点では100%だと言われている。
しかしカロリーベースで考えると、その数字はガクンと下がってしまう。
その理由は、飼料を輸入しているから。
ならば「飼料から安全な完全国産を作ろう!」と言う考えから、生まれたのがこの「こめたま」なのだ。
そしてネットで検索すると、このような動きは全国に広まりつつようだ。

政治ではなく、農家とそれをサポートする生活者が、農業を変え始めているのかも知れない。