日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

お歳暮シーズンと吉兆

2007-12-10 20:42:13 | アラカルト
船場吉兆の物販商品の偽装問題は、今日の農政局への報告で一段落となりそうだ。
それにしても、経営陣のその場限りの言い逃れのような記者会見は、見苦しいと言う印象だけを生活者に与えただけなのではないだろうか?
むしろ、「このような経営陣だから起きた事件だったのかも知れない」と言う気持ちにさせられたのと同時に、「船場吉兆」と言うブランドの「ありがたみ」は一体なんだったのだろう?と言う疑問を残したような気がしている。

「吉兆」と言うブランドには、「高級食材」への憧れのようなモノがあったように思う。
もちろん、美味しさということも重要だが「吉兆のモノを買う」というとは「厳選された確かな高級食材で、調理されたモノを買う」と言うコトを意味していたように思うのだ。
背景には、10年ほど前から始まった「お取り寄せブーム」に乗って、吉兆も物販部門に力を入れて事業展開をしたのだろうが、自分のできる範囲を大きく超えたビジネス展開だったと言うことなのかもしれない。
それだけに、生活者の受けたショックは大きいように思うのだ。

「厳選された食材」をお届けするシーズンが、今のお歳暮シーズンだ。
「お取り寄せブーム」と前後して、お歳暮(やお中元)の人気は「産直ギフト」と言われて久しい。
最近ではお世話になった人だけではなく、「自宅へのお歳暮」と言うギフトスタイルも、一般的になってきた。
その意味で、ギフト市場は広がりを見せ、高級(有名)料亭などの物販は顧客を広げるチャンスだったのだ。
だが、高級(有名)料亭は限られた顧客を対象に商売をするほうが、そのブランド力を維持できる、というのが今回の事件だったように思う。

今日、公務員や大手企業のボーナスが支給され、今週末の百貨店のお歳暮商戦はピークを迎える。
最近では、インターネットのショッピングサイトなどでも購入できる。
インターネットのショッピングサイトの場合、生産者がWEBショップを開いているところもある。
高級(有名)料亭が、物販にまでビジネスを広げると言う意味とリスクを考えると、どうなのだろうか?と言うことを、今回の「船場吉兆」の事件は教えてくれているような気がする。

まぁ、高級で有名でなくても美味しいモノはいっぱいある。
何よりも、贈る相手のことを考えたギフトを選びたいものだ。