はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

安曇野

2007年06月13日 | ほん
 安曇野には一度行ったことがある。
 若い時、信州長野県松本で1ヶ月バイトをした。休みの日にはテキトウに近燐の観光をした。ある日Oさんが安曇野へ行くというので、ついて行った。自転車を借りて走ってみたが、自然があるだけのところである。Oさんが「安曇野へ来たら、わさびだろう」と言うので、わさび蕎麦とわさび茶漬けを食った。 このバイトが終わったらOさんは、クロサワ映画『乱』のエキストラをやる予定だと言っていた。


 昔、私が小学校教諭をしていたころの教え子のN子と、ドイツの青年Lは、彼が日本に来るたびに、私を訪ねてくれた。LはN子を仲介してではあったが、『奥の細道』を読むほどの日本通で、特に日本の農村が好きだといっていた。
 (中略)
 N子とLは当然のように、そして突然に挙式した。私は披露宴に招かれたが、安曇野スケッチの予定が動かせないので、欠席の通知を出して安曇野へきた。
 日が傾き、松本城のそばまで帰ってきて車を止め、夕映えの城郭を見上げていたとき、急に私の前で車をとめ、降りてきたカップルがあった。昨夜挙式したばかりのN子とLで、二人は新婚旅行の地に安曇野を選んだのだった。二人はこの不思議な出会いがどんな祝辞よりも忘れ難い思い出になるだろうといい、互いに手をとりあってこの偶然に驚くばかりだった。
   (安野光雅画集『安曇野』より)


 昔むかし、安曇野族という海神の民が北九州からやってきてここへ移り住んだという。中国でも大体そうらしいが、海の民は、なんかやなことがあると東をめざして進んだらしい。そういう海の民が、日本のど真ん中の、海のない場所に安住したのもおもしろい。
コメント (5)
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