「のだめ」第17巻買いました。あいかわらず面白いです。
11日の棋王戦第1局、森内俊之VS佐藤康光戦は佐藤勝ち。めったに見られないような空中戦でした。佐藤はこんなに強いのに、相手が羽生だと…。
今日の記事はある将棋少女と対局したはなし。
それは先日の「ヒロエ」の記事の続きでもあります。4年まえのあのときに僕はその少女と対戦したのです。
僕が東京将棋会館へ行くのは年に1、2度のこと。そこは土日には客が多くとくに子供が多いのが特徴。僕が行ったその日は平日で、そういう日に来ている子供というのは本当に将棋がすきで毎日来ている子です。しかも子供なのに四段とかだとその子はプロをめざす可能性大。僕も四段ですから、そういう強い子供とは時々対戦します。だから相手が子供でもそんなに驚かない。(負けたくないな、と意識はするけど。)
ところが対戦が決まってそのときは驚いた。相手が四段ではなく、五段だったからです。しかもその子は小学校低学年の女の子。「エーッ、五段? ほんとうに五段?」と僕はその子に聞きました。「はい。」と平然と女の子。五段になるって簡単じゃないんですよ。四段で戦って15連勝だったか20連勝だったか忘れたけどそのくらいでないと五段には上がれない。その少女はそれをクリアーしてるわけです。
「おれよりつよいのか…。」うう、緊張します。
少女は「雁木」という構えにしました。「ガンギ」と読むのですが、この戦法はプロではあまり指す人がいませんが、アマチュアや女流棋士では指す人がけっこういます。(林葉直子もとくいとしていた。) つぼにはまると一気に攻め倒す破壊力をもっていて、実は僕もよく指していたので、相手の攻めのつぼにはまらないように駒をすすめました。少女が攻めてくれば反撃してこちらが優勢になります。しかしさすが五段、そんなことはわかっています、正面から攻めてきません。少女は玉頭からもりあがり僕の攻め駒の飛車角を目標にしてきます。
ふふ、それもこっちは経験済み。ケイケンズミだけど… あれ? どううやるんだっけ? ええと、あれ? あ、わかんねえ、しかたねえ、角切っちゃえ、あー、このままだと飛車もアブナイ、くうーっ、不利だ。まてよ、不利なら不利でチャンスはないか。むこうは飛車を取りにくる…そのときに角と換えて一気に反撃をねらう… それにはどこに味をつけておくかだ…。
少女は思ったとうりにきました。「よし、これなら勝負になる!」と僕はおもいました。反撃です。それに対して少女は対策を考えていなかったようです。あわてたのか、逆に僕のほうが優勢になりました。「よし、勝てる。」僕は確信しました。金をとりながら歩をなれば勝ちです。しかし手番は少女。少女は飛車を打ち込んできました。「飛車だけでは攻めにならない、たいしたことない、でもいったん受けておくか、そのほうが堅いが… まあ攻めても受けてもどっちでも勝ちだろ。よし、攻めちゃえ。」僕は金をとりました。これで勝ちでしょ、と。
そのときです!
少女の右手の指がピコピコと動きはじめました!
「えっ。 ええっ? えっ、(僕の玉に)詰みがあるのかー!?」(心の叫び)
わりと女性の方に多いのですが、高速で手を読むときに指を動かすひとがいます。こう行く、ああ来る、こう行く、というようなことを指をさしつつ考えるわけですね。
本当に詰みがあるのか? 詰んでいたらおれの負けだ。しかし逃れているかもしれん。よく読め、詰んでいるのか、逃れているのか…。詰ますとしたらここからくるはず…。
ああ、しかし「やっぱ詰んでるー。受けときゃよかった。」
自分でも読んだとうりに詰まされて投了です。少女の勝ち。
「詰んでたかあ。ここで歩を受けとけばこっちの勝ちだったでしょう?」と話しかけると少女は落ち着いて答えます。かなりの低音で大人のような落ち着きぶり。
きーくやしー。
その少女はその後プロ棋士養成機関である「奨励会」に入りました。いま13歳のようです。この「奨励会」には女性は今2人だけ。(女流棋士の育成会とは別のもの。)かつては林葉直子さんや中井広恵さんも奨励会に在籍し男の中で指していました。4年まえにアマ五段で指していたその少女は奨励会にたしか6級で入会し、今現在は5級です。
プロの場合は四段以上が正式な「プロ棋士」ですが、女性の場合は最高でまだ初段止まり。ここを突破してプロになった女性はまだいません。女流棋士たちが将棋連盟で発言権がないというのもそういう事情があるのです。
そしてこのようにプロとアマの「段位」はまったく別もので、女流棋士の「段位」もまた別のもの。あの少女もこの4年間にもっと強くなっているはずですが、奨励会の5、6級というのはそれくらいの実力があるのですね。
11日の棋王戦第1局、森内俊之VS佐藤康光戦は佐藤勝ち。めったに見られないような空中戦でした。佐藤はこんなに強いのに、相手が羽生だと…。
今日の記事はある将棋少女と対局したはなし。
それは先日の「ヒロエ」の記事の続きでもあります。4年まえのあのときに僕はその少女と対戦したのです。
僕が東京将棋会館へ行くのは年に1、2度のこと。そこは土日には客が多くとくに子供が多いのが特徴。僕が行ったその日は平日で、そういう日に来ている子供というのは本当に将棋がすきで毎日来ている子です。しかも子供なのに四段とかだとその子はプロをめざす可能性大。僕も四段ですから、そういう強い子供とは時々対戦します。だから相手が子供でもそんなに驚かない。(負けたくないな、と意識はするけど。)
ところが対戦が決まってそのときは驚いた。相手が四段ではなく、五段だったからです。しかもその子は小学校低学年の女の子。「エーッ、五段? ほんとうに五段?」と僕はその子に聞きました。「はい。」と平然と女の子。五段になるって簡単じゃないんですよ。四段で戦って15連勝だったか20連勝だったか忘れたけどそのくらいでないと五段には上がれない。その少女はそれをクリアーしてるわけです。
「おれよりつよいのか…。」うう、緊張します。
少女は「雁木」という構えにしました。「ガンギ」と読むのですが、この戦法はプロではあまり指す人がいませんが、アマチュアや女流棋士では指す人がけっこういます。(林葉直子もとくいとしていた。) つぼにはまると一気に攻め倒す破壊力をもっていて、実は僕もよく指していたので、相手の攻めのつぼにはまらないように駒をすすめました。少女が攻めてくれば反撃してこちらが優勢になります。しかしさすが五段、そんなことはわかっています、正面から攻めてきません。少女は玉頭からもりあがり僕の攻め駒の飛車角を目標にしてきます。
ふふ、それもこっちは経験済み。ケイケンズミだけど… あれ? どううやるんだっけ? ええと、あれ? あ、わかんねえ、しかたねえ、角切っちゃえ、あー、このままだと飛車もアブナイ、くうーっ、不利だ。まてよ、不利なら不利でチャンスはないか。むこうは飛車を取りにくる…そのときに角と換えて一気に反撃をねらう… それにはどこに味をつけておくかだ…。
少女は思ったとうりにきました。「よし、これなら勝負になる!」と僕はおもいました。反撃です。それに対して少女は対策を考えていなかったようです。あわてたのか、逆に僕のほうが優勢になりました。「よし、勝てる。」僕は確信しました。金をとりながら歩をなれば勝ちです。しかし手番は少女。少女は飛車を打ち込んできました。「飛車だけでは攻めにならない、たいしたことない、でもいったん受けておくか、そのほうが堅いが… まあ攻めても受けてもどっちでも勝ちだろ。よし、攻めちゃえ。」僕は金をとりました。これで勝ちでしょ、と。
そのときです!
少女の右手の指がピコピコと動きはじめました!
「えっ。 ええっ? えっ、(僕の玉に)詰みがあるのかー!?」(心の叫び)
わりと女性の方に多いのですが、高速で手を読むときに指を動かすひとがいます。こう行く、ああ来る、こう行く、というようなことを指をさしつつ考えるわけですね。
本当に詰みがあるのか? 詰んでいたらおれの負けだ。しかし逃れているかもしれん。よく読め、詰んでいるのか、逃れているのか…。詰ますとしたらここからくるはず…。
ああ、しかし「やっぱ詰んでるー。受けときゃよかった。」
自分でも読んだとうりに詰まされて投了です。少女の勝ち。
「詰んでたかあ。ここで歩を受けとけばこっちの勝ちだったでしょう?」と話しかけると少女は落ち着いて答えます。かなりの低音で大人のような落ち着きぶり。
きーくやしー。
その少女はその後プロ棋士養成機関である「奨励会」に入りました。いま13歳のようです。この「奨励会」には女性は今2人だけ。(女流棋士の育成会とは別のもの。)かつては林葉直子さんや中井広恵さんも奨励会に在籍し男の中で指していました。4年まえにアマ五段で指していたその少女は奨励会にたしか6級で入会し、今現在は5級です。
プロの場合は四段以上が正式な「プロ棋士」ですが、女性の場合は最高でまだ初段止まり。ここを突破してプロになった女性はまだいません。女流棋士たちが将棋連盟で発言権がないというのもそういう事情があるのです。
そしてこのようにプロとアマの「段位」はまったく別もので、女流棋士の「段位」もまた別のもの。あの少女もこの4年間にもっと強くなっているはずですが、奨励会の5、6級というのはそれくらいの実力があるのですね。