はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

「ヒロエ」、現わる。

2007年02月07日 | しょうぎ
 いま、羽生と佐藤王将戦第4局が進行中ですが、明日は女流名人戦(5番勝負)が開幕します。
 女流名人はすでに紹介済みの矢内理絵子。そしてチャレンジャーは中井広恵です。昨年に名人になったばかりの矢内さんにとっては強敵です。なにしろ中井さんは女流名人9期の実績がある人ですから。
 その中井広恵さんに僕が偶然お会いした(正確には「見た」ですね)話をしましょう。

 その前に「ヒロエ詰め」のことを説明します。
 詰将棋には「曲詰め」というのがあります。曲は曲芸の曲です。曲芸のように駒のならびが文字になっていたり面白い形になっていたりするそんな詰将棋を「曲詰め」というのです。これはつくるのがむつかしい。それで、そんな曲詰めの中でも最高傑作とされる「ヒロエ詰め」というのがあるんです。
 これを作ったのは相馬康幸さん。1987年の作品です。相馬さんは当時10代で女流名人だった中井広恵さんの女流名人就位式でこの作品をプレゼントしたのです。その作品があまりにすばらしいので詰将棋の最高栄誉である「看寿賞」を受賞しました。
 どんな詰将棋かというと、まず問題図が「ヒ」の字になっている。そしてそれを解いていくと途中で「ロ」の字になる。さらに最後まで詰めあげると「エ」になるのです。17手詰めで内容もよし、奇跡のような作品です。

 さて、僕のはなし。
 4年前のことです。僕の部屋に弟が来ていました。弟は将棋は弱いのですが、少しは興味があるようです。「こんな詰将棋があるよ。」と僕は「ヒロエ詰め」を並べてみせました。でも実際に将棋盤の上に駒を動かして「ヒロエ詰め」を並べるのはそれがはじめてのことでした。
 次の日、仕事が休みだった僕は、将棋を指しに千駄ヶ谷の将棋会館道場へ一人で行きました。受付へいくと係りの人が「すこしお待ちください。」 なにやら機材を運んでいる人たちがいる…。「撮影があるんですよ。」と係りの人。へえ…誰か棋士の撮影かな… だれ? と、周囲を見た。
 わっ(こころの声)!
 ナカイヒロエだー!(こころの声)
 僕の右隣りに中井広恵さんが! 中井さんと僕の距離は30センチほどもありません。中井さんは黒いワンピースを着て撮影の準備をみまもっていました。「こんなに小さくて細い人なんだ…。」 雑誌で見る中井女流名人はいつも大きく写っていましたから。そのとき中井広恵は4つの女流タイトルのうち3つを持っていたので、僕はその瞬間、「将棋の一番強い女流棋士」に最接近したわけですよ!
 この偶然に呆然としていると、中井広恵が僕に気づき、「あれ? この人だれ?」という驚きの目で僕を見ました。それで僕は離れたわけですが、「中井広恵と目が合っちゃった」としばらくドキドキしたのでありました。

 明日はそのナカイヒロエの登場だー!
コメント
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