はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

漫研

2006年02月15日 | まんが
 大学では漫研(のようなもの)に入りました。まんがはそれまで描いたことなかったのですが、漫研に入ると描けるようになるかと。マンガを描く--あこがれでした。そのころは「おたく」という言葉もなく、漫研は「ただの1サークル」でした。
 漫研に入って、まず同学年の男たちと遊ぶようになりました。マージャン、酒、まんがの話。ラジオ、徹夜、お好み焼き。
 上の図の中心のDのアパートの部屋が大学に近かったので、ほぼ毎日集まってました。このD、髪と顔はこんなですが、いいやつでしたね。Dは自分ではまんがを描けないし描くつもりもない。ただまんがの話がしたくて漫研に入ったようでした。
 「オレは『男一匹ガキ大将』を読まんかったらいままんが読んでないで。」と何度か言っていました。『男一匹ガキ大将』は本宮ひろ志の出世作で、小学生の男の子が株で大もうけして天狗になってその後痛い目をみたり、全国の悪ガキをケンカでやっつけて日本統一をしたりする男の子の成長物語です。
 しかしDのまんが好きはそういうまんがだけではありませんでした。少女まんがも読んでいるし(『エースをねらえ!』とか)、青年まんがもナンセンスマンガ(黒鉄ヒロシとか)もくわしい。僕が『ガロ』をはじめて読んだのもDの部屋です。本宮ひろ志にだって甘くはありません。「本宮の新作読んだか? なんやありゃあ、愚痴を言いたいだけやんか!」好きなだけにきびしくなります。
 Dの部屋にはTVがなく、ラジオとマージャンパイとこたつテーブル。そのときの仲間もほとんどがTVをもっておらず、そういう雰囲気が僕は好きでした。僕のなかでは「ひとり暮らし」=「TVのない部屋」=「大人の若者」だったのです。
そんな部屋でまんがの話をする彼らが僕にはかっこよく映りました。
 僕はといえば、おとなしく彼らの話を聞いていました。彼らの話に加わらない理由は2つあって、ひとつは話すこと自体が苦手だったこと、もうひとつの理由は、あまりまんがを読んでなかったので話す内容をもっていなかったのです。彼らをみて僕は「もっとまんがを読もう。そしてあいつらとまんがの話をしたい。」とおもったのです。
 けれどもDも他のものも、1年後には漫研をやめていきました。どうも水があわなかったようです。(僕は残りました。まんがを描けるようになりたかったので。)Dはその後、こっそり引越したようです。人づてに変な女につきまとわれて逃げるために引越したと聞きました。
 ふりかえってみて今おもうのですが、D、あいつは僕の知ってるなかで一番まんがの好きなやつだったなあ。あの頃の自分に戻れるなら、「おまえは絶対必要だ」と言って漫研に引きとめるのに。だってあんな顔のやつが漫研にいるだけで面白いもんねえ。
コメント (2)
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