はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

「i」はここにあります。

2006年02月14日 | ほん
√-1は…
「そんな数はないんじゃないでしょうか」
慎重に私は口を開いた。
「いいや、ここにあるよ」
彼は自分の胸を指差した。
「とても遠慮深い数字だからね、目につく所には現わさないけれど、ちゃんと我々の心の中にあって、その小さな両手で世界を支えているのだ」

 小川洋子『博士が愛した数式』の3ページ目に出てくる会話です。 クサくてかっこいいセリフですねー。映画化されてるようで。

 じつは僕は大学の数学科を卒業しておりまして、でも大学では落ちこぼれです。さっぱりわからなかった。大学で一番単位をとるのが難しいのが数学ではないかと僕は思っています。努力してもわからないものはわからない。
 でも嫌いではありません。が、… よく「数学が役にたつか」なんていうやつがいますが… 役にたつわけないじゃないか! だってあれは「おとぎばなし」だぜ!

 √-1 をべつの書き方をすると i です。虚数という数があってその最小単位が i です。虚数とは「じっさいには存在していない幽霊のような数」なのです。同じ2つの数字を掛けて-1になる数なんてこの世に存在しません。それが i です。
 存在しないのに「もし存在するとしたら… 虚数同士の掛け算や割り算はどうなる… 虚数の世界で面積をだすとそれは何を意味するのか…」なんて考えていくのが大学の数学です。これ、ファンタジーですよね。一部のマニアしか読めない物語のファンタジー。だって存在してないのに…。「幽霊数字物語」ですよ。
 しかしその存在しない i を胸を指して「ここにあるよ」って、うーん、こんなじいちゃんがいうとシビレルねえ。(映画ではこの役だれがやるの?)

 僕も知らなかったですよ。「友愛数」とか「双子素数」とか。
 世の中には「素数マニア」という人たちがいるらしいのは知ってた。西暦と平成とその両方が素数だったりすると「W素数年だ!」と集まってお祝いするんだそうです。いったい集まってなんの話をするのやら。
 『博士が愛した数式』は人間愛のドラマ。役にたちそうにない数学がこのように友情の役にたつなんてことが本当にあったら面白いですね。
 そしてこの映画を観にいくのならやっぱり28日ですよね。そのわけは…この本の最終ページを読めば書いてあります。