中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

へんないきもの

2008年06月10日 | 
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第115回目の今日は、「フォンタンジュは長く、人生は短い」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2008/06/1680_f461.html#more
 フォンタンジュという巨大なヘアスタイルが、ルイ太陽王の愛妾フォンタンジュ公爵夫人の名を冠したものだった、というエピソードについて書きました。

 話は180度変わり、先週、暖かい日でしたが、授業中に空いた窓から雀が教室に飛び込んできてびっくりしました。天井や電燈や壁にガンガンぶつかり、ばさっと床に落ちて動かなくなったのです。

 でもまだ生きていたので、学生(全員理工学部の男子学生)に「外へ放してあげて」と言ったのですが、誰も怖がって?近づきません。「男のくせに!」と、とんだセクハラ発言をするわたし。するとひとりが意を決して手をのばすと、今度は雀が怖がったのか、またぱあっと飛んで窓から逃げてゆきました。めでたし、めでたし。

 春のこの椿事で思い出し、その晩はまた就寝前に「へんないきもの」(早川いくを、バジリコ社)を読みました。この本、サイコーに面白くて、もう3回くらい読んでいます。いろんな変な動物やら魚やら昆虫やらの、変な姿、変な生態を、笑える文章、笑えるイラストで紹介しています。

 中にこんな怖い寄生虫が・・・
 「レウコクロリディウム」という舌を噛みそうな名前ですが、この寄生虫はカタツムリの腸内で増殖、やがて頭部に移動してきて、眼球をまるで芋虫みたいに肥大化させてしまいます。しかもどうやるのか知りませんが、カタツムリの動きまでコントロールしてしまう!

 で、哀れなカタツムリは、わざわざ葉の表の目立つところまで自分でのこのこ歩んでゆき、あげくにその肥大化した芋虫状の目玉をぐるぐる動かして鳥の注意をひきます。とうぜん鳥はそれを見てぱくっと食べるわけですね。レウコクロリディウムは、無事、その鳥の胃におさまるわけです。

 つまりこの寄生虫のほんとうの目的は鳥に寄生することにあった、それが難しいので、まずカタツムリに侵入し、鳥に喰わせた、というわけ。

 きゃあ、こんなホラーはないですね。カタツムリにしてみれば、何より恐れる天敵の鳥。それをわざわざ自分から呼んで食べられるんですもん。食べられる時、どう感じているのかなあ・・・

 寄生虫とか昆虫というのは、いろんなSFの源流ですわね。


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中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)


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マリー・アントワネット 上 (1) マリー・アントワネット 下 (3)


コメント (4)
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