浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

八正道と作善止悪

「御垂訓」~心の扉~

2018-12-28 01:38:56 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

恩師のご講演ラジオ放送より

心の扉―1

主題:過信は身を亡ぼす


先の続き・・・

何年か経った後、
若者はたった一人だけ
友達つきあいをしていた男が
山道を通りかかると、
一匹のトラが襲いかかってきました。

ところが、男の前まで来ると、
くるりと向きを変えて姿を隠しました。
草むらの中に隠れたのです。
その方向から、ああ、危なかった、
もう少しで食ってしまうところだった。
と、言う声が聞こえます。

やがて、その声が言うには、
自分は昔、君の知り合いだった男だ、
自分の才能にうぬぼれ信じきって
人を馬鹿にして生きていた。
どんな出世をしても満足することはなかった。

後の世の人にまで、
尊敬される大詩人になれると思っていた。
人と仲良くすることもなく、
家族も思いやらず、すべて自分の才能だけに
かけていた。

そんな暮らしの中で、
とうとう自分は心を病んでしまって、
世間から姿を消してしまった。
気が付くとトラの姿に変わっていた。

今、君が見たのは私の変わり果てた私の姿だ。
まだ、今なら時々、
人の心になる時もあるけど、
そのうち、身も心もトラに
なってしまうだろう。

そうなる前に、君に頼みがある。
友を作らず、家族も捨て、
一生かけた自分の才能がこのまま埋もれるのは
悲しい、これまでに作った詩を
ここで声に出してみるから、
書き止めてほしい。

世に紹介してほしい。
こう言うのですね。
若者はトラになってしまっていたのです。



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