経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

今さら・・・ですが、の2冊より

2011-04-19 | 書籍を読む
 最近読んだ本から。
 1冊目はハブ繋がりで将棋の羽生善治氏の「40歳からの適用力」です(今さら・・・という年齢になってしまいましたが)。
 棋士ならではのテーマで、「先を読む」について。相手の次の手、すなわち相手の考えていることをどうすれば「読める」か、というテーマについて、まずは「相手の立場」に立って考えることが重要である。ここまではよくある話ですが、実はそれだけでは十分でない。羽生氏曰く、相手の立場に立って「相手の価値観」で考えなければならない、とのことです。「相手の立場に立って考えましょう」とよく言われるけれども、相手の立場に立っていても「自分の価値観」で判断してしまっては元も子もありません。「経営の視点」に立っているつもりでも、「知財の価値観」で判断してしまっていないか。その立場での価値観というのは、本当の意味ではその立場を経験しないとわからないものなのでしょうが、できるだけ素直に耳を傾けて違う立場の価値観を理解していかなければならない。‘7つの知財力’で紹介したなかでは、エルム・宮原社長の「ビジネスモデルから考える」やシード・西岡前社長の「特許は投資の一部」といった考え方などは、まさに知財の価値観ではなく経営者の価値観の表れであると思います。先日書いたゼネラルパッカーの例でも、知財の価値観では「防衛特許」と表現されるものが、経営者の価値観から見ると「顧客の安心」とか「品質保証」になる。経営学を勉強すること以上に、この価値観の理解が重要なのではないでしょうか。
 もう一つ、「直感」の重要性について。「直感」には邪念の入る余地がないから、あれこれ考えるよりも、実は「直感」こそが正解だったりすることが多い。但し、単なる思いつきではだめで、その「直感」は経験や思考の積み重ねという裏付けがなければならない、というところがポイントです。職人芸と呼ばれるような領域がまさにそうで、徹底した技術の追求と無駄の排除、工夫の積み重ねが、シンプルな思考回路と鋭い「直感」を鍛え上げていく。確かに、ベンチャー投資の世界なんかにもアートな要素があり、それは経験によって育まれる部分が大きい。プロフェッショナルの真髄は、知識の豊富さや、難解な理論の構築ではなく、経験に裏づけられたシンプルな判断力を磨き上げていくことにあるのではないか。
 
 2冊目は、冨山和彦氏の「挫折力」です(若者へのメッセージというコンセプトなので、こちらも今さら・・・ではありますが)。2月に出た本ですが、震災を経てメッセージがより強く響きます。あれこれ書くと野暮になってしまいそうなので、こちらはこれくらいで。

40歳からの適応力 (扶桑社新書)
クリエーター情報なし
扶桑社


挫折力―一流になれる50の思考・行動術 (PHPビジネス新書)
クリエーター情報なし
PHP研究所