経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

「否定の否定」による発展の法則、「螺旋プロセス」による発展の法則

2008-11-18 | 企業経営と知的財産
 先日のエントリに書いた中小企業の特許戦略に関する先進的な2社へのヒアリングでは、結局のところたどりついたのは「重要な技術をしっかり見定めて特許出願する」「模倣されにくいように特許の取り方を工夫する」という、ごくあたり前の結論となりました。

 田坂広志氏の最新作(未来を予見する「5つの法則」)によると、「否定の否定」による発展の法則というのがあるそうで、発展しようと前に進んでいたつもりが、気付くと元の場所に戻っていたりする。ただし、戻ってきたのは元の場所そのままではなくて、「螺旋プロセス」による発展の法則、すなわち同じ場所のようでありながら、前より高い位置にいたりするものである。

 では本件の場合、元の位置に戻ったようでありながら、どの部分が「発展」しているのでしょうか。
 1点目の「重要な技術をしっかり見定めて特許出願する」については、「発明」そのものに着目するだけでなく、「投資」「リスクテイク」という観点から出願対象を特定する、というところが新しい視点なのではないかと思います。その企業にとって必要な特許というのは、その企業が最もリスクをとっている部分(投資をしている部分)にあるはずである。これも当然といえば当然ではあるのですが、技術的な価値の高い発明=重要、というのは陥ってしまいやすい罠であると思います。
 2点目の「模倣されにくいように特許の取り方を工夫する」は、効果的な特許の取り方という意味ではよく言われるポイントです。しかしながら、ここで一味違うのは、特許の対象製品そのものだけでなく、その製品を使ったビジネスモデル全体を見ながら、ビジネスモデルの肝になる部分を中心に特許の使い方を考える、ということです(具体的なところまではまだ書けませんが・・・)。
 「否定の否定」による発展の法則、「螺旋プロセス」による発展の法則を、ちょっと実感しちゃったりします。

未来を予見する「5つの法則」
田坂 広志
光文社

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