経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

「弁理士になりたい」か、「弁理士の資格をとりたい」か

2008-10-10 | 知財業界
 一昨日、ある中小企業診断士の資格を持たれたコンサルタントの方と話していて、よく感じている弁理士の意識の問題点について、やはりそうかと感じました。
 以前にも、弁理士というのは属性の一つであって主体ではないのでは、ということを書きましたが、診断士の世界では属性という意識が強い、というかほとんどそれが当たり前、ということのようです。
 例えば、
� 弁理士になりたい
� 弁理士の資格をとりたい
同じように見えて、実はこの意識の違いはとても大きい。�は弁理士を主体と捉えているのに対して、�だと属性の一つという位置づけです。社会人としてのアイデンティティが形作られる前に資格云々を考えると、意識としては�になっていきます。これだと画一化・同質化された弁理士が再生産されていくだけで、その中での差異は相対的なものになる。一方、社会人としてのアイデンティティが見えてきた後であれば、アイデンティティに裏付けられた自分を主体として考えるので、資格というものは属性の一つという、�の意識になりやすい。そうすると、同じ資格をもっているとはいっても多様であり、絶対的な違い・個性のあるビジネスパーソンになっていく。
 その方は、以前にも「診断士として一括りに分類されると、あまりにもいろんな人がいるのですごく違和感があります」と仰っていましたが、たぶんアイデンティティが多様であるので、社会への食い込み方、クライアントとの関係も人それぞれなのだと思います。
 もちろん、知財業務というのは均質性・安定性を求められる部分が大きく、�の意識からアプローチしてトラディショナルな弁理士として活躍することも十分に可能(というか、たぶんそれが主流)なわけですが、たぶん弁理士全体に欠けていると指摘される要素は、�の意識なのではないかと思います。なんて言いながら、これも弁理士で括って考えちゃってるわけだから、そもそもこの議論自体がナンセンス、ってことなのかもしれませんが。