経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

実体経済と地道な知財戦略

2008-10-08 | 企業経営と知的財産
 昨日は暗いトーンのエントリを書き、今日はマーケットがさらに壊滅的な状況となってきていますが、震源地の米国ではパニックに陥るばかりでなく、地に足の着いた見方も出てきているようです。そうした見方でよく見かけるようになってきたのが「実体経済」というキーワードです。この記事を読んでいたら、今の状況は「地道な知財戦略」を推進する上では好機のように思えてきました。特に、「終焉を迎える投資銀行」の

基本に立ち返ることになるだろう」と、モルガン・スタンレー・アジアのローチは言う。「コンサルティング業務が増え、レバレッジの高い取引は減る。取引はクライアントの戦略的ニーズに沿って進められるようになり、取引そのものも金儲け一辺倒ではなく、より戦略的になるだろう」

というくだりです。健全な、実体のある企業経営を支えるものであるならば、知財戦略はむしろ重要性が増してくるものであり、そうした手堅い経営に金融もついてくるようになるだろう、ということなのではないでしょうか。知財の世界でも、実体のある本業から離れて、知財そのものを商品のように切った貼ったするような「知財で稼ぐ」的な戦略は消えていき(消える前にそもそも存在しないという話もあるかもしれませんが)、実体のある本業の足元を固める「地道な知財戦略」が正当に評価されるようになる。そんな流れになっていくのであれば、災い転じて、って感じなのですが。

※ 来月、某誌に「知的財産による資金調達」という論文が掲載されるのですが、「知財戦略で収益力を高めることが企業の信用力向上→コーポレートとしての資金調達力の強化に繋がる」という「地道型」の話と、証券化(+信託)のような「切った貼った型」のアセットファイナンスの話を両方解説したのですが、経済社会がこういう方向に向かっていくのであれば、後者はバッサリ落としてしまってもよかったのかも、なんて思ったりします。