経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

ギリシャ神話的知財戦略

2008-01-20 | 知財一般
 以前に見た「トロイ」を何となくもう一度見たくなって、昨日の夜中にDVDを引っ張り出してきました。「知的財産」と「知的財産権」の関係をよく「天守閣」と「濠や石垣」に例えて説明するのですが、堅牢な城壁で固めたトロイは固い「知的財産権」で守られた高収益のビジネスか、何か知財戦略のヒントになりそうなネタでもないかなぁ…、などとくだらないことを考えながら。
 トロイの強さから読み取れるのは、国に対する誇り・アポロンの神への信仰による結束、組織的で計算された戦術、心・技ともに優れたリーダー(ヘクトル)の存在、といったところです。まぁ、普通に考えた場合の理想形ですが、リーダーが率先して現場に出て現場を良く知っている、責任をとる姿勢を明確にしている、というところがその結束を固めているのでしょうが。尤も、最終判断をするリーダー(プリアモス)の判断力が鈍ってきているところと、幹部の中にさしたる根拠もない抽象的な主張を繰り返す人達が混じっているのが困ったところですが。
 一方のギリシャ側、アキレスは傭兵みたいな立場で1つの船の率いて先頭を切ってトロイに突っ込んでいき、「おぉ、特許事務所みたいなもんか」といった感じです。ある程度規模の大きい特許事務所であれば経営者である所長は実務に詳しい必要はないとの説に対し(組織論からすれば当然の考え方と思いますが)、アキレスを見ていると、前線で戦う仕事で士気を高めて結束するためにはリーダーこそ実力が抜きん出ていなければならない、とも言えるかもしれません。
 さて、そのギリシャ側は王(アガメムノン)が欲の張ったどうしようもない人物で(アキレスがプリアモスを「うちの王よりよっぽど立派」と評する場面は笑えます)、これで勝ってきているのがなんとも不思議なところです。で、何が支えているかというと、「歴史に名を残す」という個々人の名誉欲?(自己実現欲といったほうがいいでしょうか)のようです。知財の仕事でなかなか歴史に名前は残らないでしょうが、この業界でも現場の実績として「誰がやった仕事か?」というところがもっと意識され、評価されるようになれば、アキレスのような兵がたくさん出てくるかもしれませんね。

トロイ

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