この間「鈴木ほのかさんのエレンがどんな解釈でやっていたか見たかった」と呟いたら、見たことがある方が早速教えてくださいました。Kさんありがとうございました!
CDを聞いてなんとなく予想はしていましたが、やはりキムに対してかなり冷たいエレンだったようです。ラストでもタムを見つめるだけで、最後まで手を取ることはしなかったそうで。
今回の公演で私はお二人のエレンを見ましたが、そのうちの高橋由美子さんの解釈と比較的近いエレンだったかなあと思いました。高橋由美子さんのエレンを見た時になんとなくそう思ったのですが。
高橋由美子さんのエレンは、ラストシーンではずっとタムを見つめていて、最後にようやくタムの手を取りました。ほのかさんはそこで取るところまで行かなかったんだなあ、きっと・・・
もうお一方のエレンは、キムに対しても優しくあろうとしていて、最後にはタムを抱きしめていました。優しいエレンにはホッとする面もありますが、前にも書きましたが、私にはかえって印象の薄いエレンになってました(汗)キムの引き立て役になってしまっていたような。演技の力量の差とかもあるかもしれないんですが・・・(汗)
この作品の良いところは、単にキムとクリスの純愛物語ではないし、悲劇のヒロインとしてのキムの物語、でもないところだと私は思いました。もちろんキムは悲劇のヒロインですが、本当に描きたかったのはやはり戦争の悲劇、でしょうから。
エレンの存在がどのような意味を持つかと言うと、さらっと演じてしまえばキムからクリスを奪った存在、というだけになりかねないのですが、I STILL BELIEVEという素晴らしい曲をキムと二人で歌っているということからも、単純にそれだけの存在ではないと思えました。私がほのかさんのI STILL BELIEVEで泣いたからかもしれませんが・・・(笑)
私はミス・サイゴンの登場人物の中で一番共感を覚えるのはエレンかな、と思うのですが、それは今平和な日本に生きていて、戦争が他の国で起きていても、実際にはその痛みを感じてはいない、という立場が一番近いから、だと思います。エレンって、そういう多くの平和な国に住む人々の代表のような存在に思えました。私には。
エレンのキムに対する態度は、イコール平和な国に生きている人間が戦争の悲劇に直面した時の態度、とも読み取れるように思いました。深読みしすぎって気もしますが・・・(汗)
キムに対して優しくあろうとするエレンは、裏を返せば、その苦しみを本当には理解していないのに、貧しい国の人々に優しくあろうとする、先進国の無知、高慢、偽善にも思えてしまうのです。高みから見下ろしているような・・・
むしろ、クリスが愛していた人なのだと、一人の女性として対等に敵意を持つエレンの方が、キムに対して真摯に接しているように、私には思えるのです。
最後にタムと対峙するエレンが何を思うのか・・・。タムがかわいそう、というだけではやはりキムに対して失礼な気がしてしまうのです。
キムが自分の命を懸けて託した子供。その子供を受け取るということの重さを、タムをじっと見つめるエレンは噛みしめ、自分にできるのだろうかと問いかけてていたのではないでしょうか。
高橋由美子さんのエレンは、かなり長い間見つめたあと、最後にようやくタムの手を取りました。「この子を受け取ろう」と決意したということなのだと思いました。
ほのかさんのエレンはタムの手を最後まで取らなかったそうですが、幕が下りるあの時点ではほのかさんのエレンはキムが託した「重さ」を受け止めきれていなかったのではないかと思いました。それだけキムの想いを深く受け止めていたのではないかと思うのですか。単なるこじつけかもしれませんが(汗)ほのかさんだったらそういう役作りはしそうな気がします。
(とか言ってファンレターに色々書いて、後で「いつも目からウロコの意見をありがとうございます」とか言われてしまったことがある私・・・つまりハズしてるってことじゃん(笑))
印象的だったのは、高橋由美子さんがエレンだった時は井上芳雄さんがクリスだったのですが、エレンがタムの手を取った後そのエレンの姿を振り返って見ていました。
もう一回の時は石井一孝さんでしたが、エレンの方は見ちゃあいませんでした(笑)これはクリスの違いなのか、エレンによる違いなのか。ちょっぴり気になります。
しかし、私はミス・サイゴンのラストを見て、タムが幸せになれるとはあまり思えませんでした・・・。いくら幼いとは言え、母親が死んだところを目の当たりにし(直接見てないにしても、絶対倒れているところは見てるし・・・)、引き取られてもどう考えても混血児として差別を受けたり、苦しい思いをするでしょう。もしかしたら幸せになるかもしれませんけど・・・
キムの選択は本当ならするべきではなかった選択なのでしょう。でも、トゥイを殺してしまった罪の意識、そしてクリスが昔のままで救いに来てくれなかったという事実に絶望したキムの選択は、理解できるし、責めることもできないと思いました。
全ては戦争が引き起こしたこと。その苦さを孕んだ終わり方に、本当によく出来た物語だなあと思いました。
でも、その苦さが、どこか心から作品にのめり込めない理由なのかもしれません・・・本当によくできているし、それでいいのだとも思うのですが・・・
CDを聞いてなんとなく予想はしていましたが、やはりキムに対してかなり冷たいエレンだったようです。ラストでもタムを見つめるだけで、最後まで手を取ることはしなかったそうで。
今回の公演で私はお二人のエレンを見ましたが、そのうちの高橋由美子さんの解釈と比較的近いエレンだったかなあと思いました。高橋由美子さんのエレンを見た時になんとなくそう思ったのですが。
高橋由美子さんのエレンは、ラストシーンではずっとタムを見つめていて、最後にようやくタムの手を取りました。ほのかさんはそこで取るところまで行かなかったんだなあ、きっと・・・
もうお一方のエレンは、キムに対しても優しくあろうとしていて、最後にはタムを抱きしめていました。優しいエレンにはホッとする面もありますが、前にも書きましたが、私にはかえって印象の薄いエレンになってました(汗)キムの引き立て役になってしまっていたような。演技の力量の差とかもあるかもしれないんですが・・・(汗)
この作品の良いところは、単にキムとクリスの純愛物語ではないし、悲劇のヒロインとしてのキムの物語、でもないところだと私は思いました。もちろんキムは悲劇のヒロインですが、本当に描きたかったのはやはり戦争の悲劇、でしょうから。
エレンの存在がどのような意味を持つかと言うと、さらっと演じてしまえばキムからクリスを奪った存在、というだけになりかねないのですが、I STILL BELIEVEという素晴らしい曲をキムと二人で歌っているということからも、単純にそれだけの存在ではないと思えました。私がほのかさんのI STILL BELIEVEで泣いたからかもしれませんが・・・(笑)
私はミス・サイゴンの登場人物の中で一番共感を覚えるのはエレンかな、と思うのですが、それは今平和な日本に生きていて、戦争が他の国で起きていても、実際にはその痛みを感じてはいない、という立場が一番近いから、だと思います。エレンって、そういう多くの平和な国に住む人々の代表のような存在に思えました。私には。
エレンのキムに対する態度は、イコール平和な国に生きている人間が戦争の悲劇に直面した時の態度、とも読み取れるように思いました。深読みしすぎって気もしますが・・・(汗)
キムに対して優しくあろうとするエレンは、裏を返せば、その苦しみを本当には理解していないのに、貧しい国の人々に優しくあろうとする、先進国の無知、高慢、偽善にも思えてしまうのです。高みから見下ろしているような・・・
むしろ、クリスが愛していた人なのだと、一人の女性として対等に敵意を持つエレンの方が、キムに対して真摯に接しているように、私には思えるのです。
最後にタムと対峙するエレンが何を思うのか・・・。タムがかわいそう、というだけではやはりキムに対して失礼な気がしてしまうのです。
キムが自分の命を懸けて託した子供。その子供を受け取るということの重さを、タムをじっと見つめるエレンは噛みしめ、自分にできるのだろうかと問いかけてていたのではないでしょうか。
高橋由美子さんのエレンは、かなり長い間見つめたあと、最後にようやくタムの手を取りました。「この子を受け取ろう」と決意したということなのだと思いました。
ほのかさんのエレンはタムの手を最後まで取らなかったそうですが、幕が下りるあの時点ではほのかさんのエレンはキムが託した「重さ」を受け止めきれていなかったのではないかと思いました。それだけキムの想いを深く受け止めていたのではないかと思うのですか。単なるこじつけかもしれませんが(汗)ほのかさんだったらそういう役作りはしそうな気がします。
(とか言ってファンレターに色々書いて、後で「いつも目からウロコの意見をありがとうございます」とか言われてしまったことがある私・・・つまりハズしてるってことじゃん(笑))
印象的だったのは、高橋由美子さんがエレンだった時は井上芳雄さんがクリスだったのですが、エレンがタムの手を取った後そのエレンの姿を振り返って見ていました。
もう一回の時は石井一孝さんでしたが、エレンの方は見ちゃあいませんでした(笑)これはクリスの違いなのか、エレンによる違いなのか。ちょっぴり気になります。
しかし、私はミス・サイゴンのラストを見て、タムが幸せになれるとはあまり思えませんでした・・・。いくら幼いとは言え、母親が死んだところを目の当たりにし(直接見てないにしても、絶対倒れているところは見てるし・・・)、引き取られてもどう考えても混血児として差別を受けたり、苦しい思いをするでしょう。もしかしたら幸せになるかもしれませんけど・・・
キムの選択は本当ならするべきではなかった選択なのでしょう。でも、トゥイを殺してしまった罪の意識、そしてクリスが昔のままで救いに来てくれなかったという事実に絶望したキムの選択は、理解できるし、責めることもできないと思いました。
全ては戦争が引き起こしたこと。その苦さを孕んだ終わり方に、本当によく出来た物語だなあと思いました。
でも、その苦さが、どこか心から作品にのめり込めない理由なのかもしれません・・・本当によくできているし、それでいいのだとも思うのですが・・・
>実際にこうやって現実を突きつけられて、ジェスチャーの通りに
>行動できる人なんて…そっちの方が普通じゃないだろうなあ。
そう、私もそう思います。もし自分がエレンの立場だったら、多分できないんじゃないかと思います。
そのあたりのリアルさがすごいなあと思ったんですよね。
エレンがタムを受け入れられるかどうかは、何年も時を経た後に答えが出るというのが本当じゃないかとも思ったりします。
本当に、アメリカ人やイギリス人が演じるエレンはどんな感じだったのだろうと、とても気になりますね。クリスもなんですが。
ブロードウェイやウェストエンドでは、実際に白人とアジア系の役者さんで演じ分けていたわけですから、そのあたりどんな感じだったんだろうと。
昔、まだミス・サイゴンをやっていた時にブロードウェイに行ったのですが、CDの印象が悪くて全然興味なくて、見なかったのが今となっては悔やまれます。
しなかったエレン…
…リアルですねえ。確かに。
CDで聴いていると、確かにタムに対する接し方には、
どうも心からの善意というよりは、単なる義務感からの
偽善に近い感情のようなものが聴いて取れますよね。
うわべが冷静で、聞き分けの良い奥さん振りなだけに余計…
キムへの対峙するスタンスも、女としての感情が見え隠れするし。
タムの手を取らなかった、取れなかったというのもさもありなん。
正直、離れた所で幾ら善意と親身な理解をジェスチャーしても、
実際にこうやって現実を突きつけられて、ジェスチャーの通りに
行動できる人なんて…そっちの方が普通じゃないだろうなあ。
そうやって考えると、今度はオリキャス盤のクレア・ムーアは、
ラスト、タムに対してどのような態度をとったかが気になったり。
本当にザ・白人優位主義の冷淡さ・高慢さを身に纏ったような
エレンでしたから。CDの印象では。