ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

炎の人

2009年06月28日 | ミュージカル・演劇
行く前にあり得ないことが・・・(汗)
天王洲銀河劇場17時半開演。午前中に新宿で用事があって、美術館行ったりネットカフェ行ったりしてさんざん時間つぶして、さて行くか、と池袋から埼京線に乗ったら・・・なぜか下りに乗っていて、気がついたら戸田公園(汗)
一瞬そのまま川越に行ってしまおうかと思いましたが(本川越Departureで英三さんのライヴが・・・)、場所調べてないもんな、と思いなおして、とにかく次のりんかい線直通に乗って、もう間に合わないかな・・・と思ったら、開演少し押したのもあってギリギリ間に合ってしまいました。危なかった・・・
あんなに時間余ってたのに遅刻しかけるなんてあり得ないよホント・・・(汗)

ゴッホについてはほとんど何も知らず、耳切ったとか自殺したとかで、狂気の芸術家というイメージしかなかったのですが、(あと「生きているうちには一枚も絵が売れなかった」というのはのだめで知ったな・・・(汗))もともと宣教師だったりとか、案外に真面目な人だったというのは初めて知りました。
ゴッホも、トーマス・マンやヘッセのような、芸術に打ち込むことと実生活を誠実に生きることのギャップに苦しんだタイプの芸術家だったんですね。意外でした。
ただし、トーマス・マンもヘッセもどちらかというとちゃんと社会生活を送っている故に芸術に罪悪感を持っているという感じですが、ゴッホの場合は芸術にのめりこまずにはいられないがために、気がつけば誠実な実生活から外れてしまっている、という事実に傷ついて行ったのですね。
誠実すぎ、純粋すぎる故に自ら傷つき狂気にかられて行く人物像は、説得力がありました。
市村さんは、見事にそんなゴッホ像にハマっていましたね。さすが。
ゴッホをめぐる、とまどいながらも献身的にゴッホを支える弟テオ、有名な肖像画のモデルであるパリの画材店主やアルルの郵便配達夫らの暖かい人柄の人物たちとの交流は心に沁みましたね。純粋故に極端に走るゴッホを、暖かく優しく見守る姿が。
テオはゴッホの行動に戸惑いますが、それでも兄を愛している、兄の才能を信じていると誠実に信じている様が心を動かします。
ゴーガンとの屈折した友情も、ゴッホの純粋さと、そのゴッホの純粋さと才能に心を動かされるゴーガンの姿に心を打たれましたね。屈折しているけれどどこか微笑ましい友情で。
ゴーガンは、またゴッホとは全然別の、破壊的な芸術家タイプですよね。そんなゴーガンに対するゴッホの憧れと反発、逆にゴーガンのゴッホへの表には出さない尊敬と友情、というのもとても興味深かったです。
益岡徹さんはそんなゴーガンの磊落さと、ゴッホへの複雑な友情を、どこか暖かく演じていて良かったです。
そういや市村さんと益岡さんはARTでも屈折した友情を演じてたんでした。あっちの方がもっとドライでシニカルだったけど。(そしてこちらも絵が喧嘩の原因でしたが、もっと全然次元の違う話だったなあ(汗))名コンビぶりは相変わらずだったかも。
荻野目慶子さん演じる二人の娼婦も印象的でした。特に、アルルの娼婦ラシェルの無邪気さが心に残りました。もちろんシーヌも良かったのですが。
ゴッホを取り巻く悪意や無理解も描かれているのですが、むしろゴッホに対する暖かな人たちの存在が、逆にゴッホを苦しめていたようで、その暖かさが心に沁みるとともに、ゴッホの孤独と狂気への道のりが見えて、説得力があったというか、上手いなあと思いました。
でも、ラストのナレーションはちょっと長すぎて興ざめだったな・・・あまりにも脚本家本人の思い入れが出すぎに思えました。
ゴッホの絵をふんだんに使ったセットは面白かったですが、ゴッホの模写の色が悪すぎで残念でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする