ずっと10年間、「食」にこだわり続けてきた。
それはやっぱり人の基本的な所を支えているのは「食」だと確信してきたから。
だから、池さんで作るご飯は、いつも季節の野菜をメインにしたものばかり。
冬の時期はいつも大根やカブが食材には入っているし、夏は茄子やきゅうりが中心の献立になる。大鍋のおかゆや雑炊も、欠かせない冬の献立。
池さん本店でも、季節の野菜を中心に、お惣菜を考えている。
持ち帰りのお弁当は、忙しいご家族が年寄りのご飯にストレスを感じなくてもいいように、デイの帰りに持って帰るように用意している。
採算ベースに乗るにはまだまだだけれど、手間暇かけた献立をお弁当にして持ち帰ってもらい介護生活を送る家族の手助けになりたいと心から思っている。
もちろん、部活のお弁当や個人のお弁当にも応じていて、地域のいろんなシーンで池さんの食が日の目を見ることを願っているわけで。
付け加えるなら、宴会も受け付け中。他のお客と一緒ではないので子ども連れにも安心で、楽しめること間違いなし。
で、ばあさんのお弁当買い物風景。
デイの送りが始まると、池さんの車に乗ったばあさんは、池さん本店に横付けする。
お弁当を持ったスタッフは、ドライブスル―でお弁当をばあさんに渡す。
ばあさんは財布の中のお金をスタッフに支払い(お金の受け渡しが難しい人は、1ヵ月まとめてご家族から頂いている)
、無事買い物完了。
本店のスタッフは、お見送り。
たったこれだけのことだけれど、独りで買い物にいくことができないばあさんにとって、デイに行って買い物をすることができることは、きっと楽しみになるに違いない。
(ちなみに、池さんでは買い物がイベントとして存在することはない。買い物は必要な時にするもので、買い物の日を作って、大きなバスに乗って買い物に出かけたりすることはナンセンスだと思っている)
お弁当はただのお弁当ではなく、ばあさんにとって大きな意味を持つお弁当なのだ。
ご家族は、ばあさんの持って帰ったお弁当を広げて、とりあえずばあさんの食事を終わらせる。
ばあさんはお腹いっぱいになったら、あとはゆっくり眠くなるまでテレビでも見て過ごせばよい。
介護する家族は、それからゆっくりご飯を用意すればいいのだ。
在宅を支えるために考える。
生活者として生きることをとことん考える。
人として生き切ることを考え抜く。
そうやって池さんは育ってきた。
これまでも、これから先も、ずっと。