ヒイチャンが小学校の3年生の時の遠足。
小松の町へ遠足にやってくることになったヒイチャン達。
いつものように、夜明け前に大保木の村を出発!
遠足だからと、ヒイチャンのお母さんは20銭を「無駄遣いするなよ」と言って、小遣いに持たせてくれた。
ヒイチャンは、そのお金をポケットにしまい、新しいぞうりを履いて、小松に向けて出発した。
歩いて、歩いて、歩いて、小松の町に到着したヒイチャン達。
小松の町は、ヒイチャンが興奮するくらい、活気があって「町」そのものだった!
朝早く起きて、お母さんがこしらえてくれたおにぎりをヒイチャンたちは食べる。
そして、当時まだ珍しかった「汽車」を、皆で見ることになったヒイチャン達。
小松の駅で、汽車を待つヒイチャン達の前に、向こうから待ちに待った汽車がやってきた!
突然!
ヒイチャンの隣に住む男の子が大声で泣き始めた。
「あないに、黒い、大けなものが、こっちに向かって走ってくる~~!こわ~いよ~!」
それほど、当時まだ汽車なんてしろものは、珍しくてこわい類のものだったらしい。
「ほんで、ヒイチャンは汽車を見て怖くなかったん?」と聞くと、ヒイチャンはこう答えた。
「うちは、父さんがハイカラな人やったけん、もうずっと前に一度汽車を見せに小松の町へ連れて行ってくれよったけん、知っとったんよ」
汽車を見て、小松の町で、ヒイチャンは(無駄遣いするなと言われたから)10銭で皆におみやげのお菓子を買って、残りの10銭は大切にポケットにしまって、大保木へ帰った。
やっぱり、日が暮れたから、先生はちょうちんに火をともして、ヒイチャンたちを送ってくれた。
幼い頃のヒイチャンの思い出。
そして、
いろんな事を忘れるようになってきたヒイチャンにとって、絶対に忘れることのない遠い日の大切な大切な思い出。
その話を楽しそうに、まるで昨日のことのように話してくれるヒイチャンの笑顔。
私が池さんを始めて、本当によかったと思う大切な瞬間。
いろんな事を忘れる人たちが、忘れたくない思い出話を話してくれる時、
私はいつも、全ての人に絶対に忘れたくない大切な思い出があるのだということを思う。
それは決して、楽しい思い出ばかりではないかもしれない。
けれど、長い年月はたぶん、全ての思い出をそれなりの思い出に変えてくれるのだろう。
失っていく記憶の多さにとまどい絶望しつつ、楽しかった思い出を心の支えに、老いを生きていく。
私自身もいずれ訪れるであろう老いの道。
考えたら、ヒイチャンの遠足のように、私自身に決して忘れたくない大切な思い出がいくつあるだろう?
どんな状況になっても忘れないほどの思い出を胸に、老いの道を歩んでゆきたいと思う。
毎日の池さんの暮らしの中で、年寄りから学ぶことは、両手に有り余るほど多い!
小松の町へ遠足にやってくることになったヒイチャン達。
いつものように、夜明け前に大保木の村を出発!
遠足だからと、ヒイチャンのお母さんは20銭を「無駄遣いするなよ」と言って、小遣いに持たせてくれた。
ヒイチャンは、そのお金をポケットにしまい、新しいぞうりを履いて、小松に向けて出発した。
歩いて、歩いて、歩いて、小松の町に到着したヒイチャン達。
小松の町は、ヒイチャンが興奮するくらい、活気があって「町」そのものだった!
朝早く起きて、お母さんがこしらえてくれたおにぎりをヒイチャンたちは食べる。
そして、当時まだ珍しかった「汽車」を、皆で見ることになったヒイチャン達。
小松の駅で、汽車を待つヒイチャン達の前に、向こうから待ちに待った汽車がやってきた!
突然!
ヒイチャンの隣に住む男の子が大声で泣き始めた。
「あないに、黒い、大けなものが、こっちに向かって走ってくる~~!こわ~いよ~!」
それほど、当時まだ汽車なんてしろものは、珍しくてこわい類のものだったらしい。
「ほんで、ヒイチャンは汽車を見て怖くなかったん?」と聞くと、ヒイチャンはこう答えた。
「うちは、父さんがハイカラな人やったけん、もうずっと前に一度汽車を見せに小松の町へ連れて行ってくれよったけん、知っとったんよ」
汽車を見て、小松の町で、ヒイチャンは(無駄遣いするなと言われたから)10銭で皆におみやげのお菓子を買って、残りの10銭は大切にポケットにしまって、大保木へ帰った。
やっぱり、日が暮れたから、先生はちょうちんに火をともして、ヒイチャンたちを送ってくれた。
幼い頃のヒイチャンの思い出。
そして、
いろんな事を忘れるようになってきたヒイチャンにとって、絶対に忘れることのない遠い日の大切な大切な思い出。
その話を楽しそうに、まるで昨日のことのように話してくれるヒイチャンの笑顔。
私が池さんを始めて、本当によかったと思う大切な瞬間。
いろんな事を忘れる人たちが、忘れたくない思い出話を話してくれる時、
私はいつも、全ての人に絶対に忘れたくない大切な思い出があるのだということを思う。
それは決して、楽しい思い出ばかりではないかもしれない。
けれど、長い年月はたぶん、全ての思い出をそれなりの思い出に変えてくれるのだろう。
失っていく記憶の多さにとまどい絶望しつつ、楽しかった思い出を心の支えに、老いを生きていく。
私自身もいずれ訪れるであろう老いの道。
考えたら、ヒイチャンの遠足のように、私自身に決して忘れたくない大切な思い出がいくつあるだろう?
どんな状況になっても忘れないほどの思い出を胸に、老いの道を歩んでゆきたいと思う。
毎日の池さんの暮らしの中で、年寄りから学ぶことは、両手に有り余るほど多い!