弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

「しくじり先生」岡口さんに「私、失敗しないので」

2024年07月31日 13時43分09秒 | テレビ
今日は夏休み前半戦の最終日。
上京し、岡口さんと初の対談をさせていただく。
岡口さんとリアルで言葉を交わすこと自体、今日がまだ3回目。
1回目(水戸地裁岡口判事表敬訪問歓迎会)と、2回目(裁判官弾劾裁判所での証言の打上げ)は、私的な飲み会だった。
(写真)「週刊SPA!」で、法曹界の「しくじり先生」として連載「裁判官失格(クビ)」を既に5回続けている今の岡口さんから、どんな話が聞けるか、私も楽しみだ。

「岡口基一元裁判官が語る
 弾劾裁判と裁判官の市民的自由
  ~ゲスト:竹内浩史裁判官~」
開催のお知らせ(Benlabo)
https://www.benlabo.org/column/3884/

「お前が悪い」と 言わない限り「官僚」組織は 応えない

2024年07月30日 12時44分52秒 | 名古屋・愛知
私が名古屋市民オンブズマンを含む弁護士活動をしていた時代から提唱して来た「悪い役所の効果的な攻撃方法」を伝授したい。
例えば分かりやすい例を挙げると、「名古屋市役所が悪い」と言ってもダメである。重要文化財にもなっている名建築に責任がある訳がない。
したがって、最低限「名古屋市長の〇〇が悪い」と言わなければならない。できれば、行政裁量権を有する最高位の役人を特定して「名古屋市〇〇局〇〇課長の〇〇は悪い」と名指しすべきである。
これは何も、過激な事を言っている訳ではない。地方自治法の住民訴訟と最高裁判例も、全く同様の建付けとなっている。
当然のことながら、最高裁を含む国の官庁を批判する際にも同様であって、個々の悪しき官僚をターゲットにすべきである。
裁判官を含む高級官僚の責任は、それほど重いものである。

「2割司法」と「3割自治」が ごっちゃになったら「3厘」へ

2024年07月29日 12時56分24秒 | 裁判
一昨日の大阪講演には、福岡県から木佐茂男先生もお越しになって、初対面にもかかわらず、私の拙い講演を聞いていただける光栄にも浴した。
もっとも、私の著書に重大な事実誤認をご指摘いただいた。
(写真)この箇所で「三割司法」「三割どころか」の記述は誤りで、正しくは「三割」ではなく「二割」だとのこと。
https://www.bengo4.com/c_18/n_16969
記事にも出て来る「三割自治」と、私の記憶の中でごっちゃになっていたのだろう。
しかし、いずれにせよ「二割」の説明根拠が分かりにくいことには変わりはない。
私は国家予算全体を分母にして司法予算の割合を示す「三厘司法」への言い換えと、その打破を提唱し続けたい。

民事か刑事か 分からぬほどに 裁判離れた 事務総長

2024年07月28日 20時36分17秒 | 弁護士任官
(写真)最高裁入りが決まった中村槇(なかむらまこと)東京高裁長官(前最高裁事務総長)の経歴から。
キャリア裁判官出身の最高裁判事の枠は6人で内訳は民事裁判官3人、刑事裁判官3人になっているとされる。
しかし、この人は一体、民事なのか刑事なのか、経歴を見てもさっぱり分からない。
普通は、民事か刑事かいずれかの裁判長を務めて何か有名な判決をしていたり、最高裁の民事局か刑事局かいずれかに勤務していたりして、分かるものなのだが、全く分からない人も珍しい。
そもそも、経歴を見て、一体、裁判を通算で何年何か月した経験があるのか、数えて見てほしい。判事補と大して違わないはずだ。

「小役人」とは 私の前に 瀬木比呂志さんも 言っている

2024年07月27日 22時40分40秒 | 裁判
「小役人が偉くなっていく」
異例の国賠提訴の竹内浩史判事が講演
"官僚司法”を痛烈批判
(関西テレビ放送 カンテレ)

https://www.ktv.jp/news/articles/?id=13923

今日は弁護士任官者や日本裁判官ネットワークの諸先輩を差し置き、錚々たる聴衆の前で講演をさせていただく栄誉に浴した。
(写真)ちなみに、官僚裁判官を「(小)役人」と呼ぶのは、私が初めてというわけではなく、例えば、瀬木比呂志元裁判官も数々の著書で同様の評価を下している。

「官僚司法」じゃ 立派に聞こゆ「小役人裁判」と 言い換えを

2024年07月26日 22時32分48秒 | 自選どどいつ
いよいよ明日は午後から大阪で私の出版記念講演をさせていただく。

http://www.j-j-n.com/

パリ五輪の開会式中継を見たいのは山々だが、我慢して早寝し、明日は思う存分に「官僚司法」改メ「小役人裁判」批判を展開したい。

「一将校」改メ「一長官」成りて 依願退官 続々と

2024年07月25日 12時30分41秒 | 新ことわざ
今日の毎日新聞ニュースサイト記事から。
「残業代なし、まるでブラック企業?
  疲弊する裁判官 なり手も減少」
https://mainichi.jp/articles/20240724/k00/00m/040/059000c

山本健一元裁判官も私と同じ弁護士任官者で、昨春まで津地裁民事部で私の右陪席を務めて下さっていた。
名古屋地家裁豊橋支部に転勤して、一年で依願退官のやむなきに至ったのは、返す返すも残念でならない。

最高裁事務総局は、最近相次ぐ裁判官の依願退官について、責任を痛感すべきだろう。
それどころか、政治家であれば引責辞任するであろう立場の「裁判をしない裁判官」の総帥である事務総長(正確には裁判官の身分を離れて事務官になっているので「裁判をしない裁判官ですらない事務官」)が、最近では次のように例外なく、東京高裁長官、最高裁長官へと出世して行くのだから、司法行政も「かなり絶望的」である。
①戸倉三郎 最高裁事務総長→東京高裁長官→最高裁判事→最高裁長官
②今崎幸彦 最高裁事務総長→東京高裁長官→最高裁判事→最高裁長官へ
③中村 槇 最高裁事務総長→東京高裁長官→最高裁判事へ
④堀田眞哉 最高裁事務総長→東京高裁長官へ
(写真)最高裁人事局長にも責任はあろう。
現任の徳岡人事局長の前任者も堀田事務総長である。

彼のように黙って依願退官するのではなく、本当の理由を当局にも世間にも堂々と述べて、問題提起するのは、とても良いことだと思う。
近い将来、私が退官する時にも記者会見を開いて、本当の理由を述べ、責任の所在を明らかにしたい。
それも弁護士任官者としての最後の役目だと思う。

抵抗勢力? 露骨に飛ばす「最高裁の 暗い面」

2024年07月24日 08時38分42秒 | 裁判
先週から「週刊金曜日」で私のインタビュー記事の連載が始まった。
行政を果断に敗訴させる高裁裁判長(名古屋高裁の藤山雅行元裁判長・仙台高裁の小林久起元裁判長・名古屋高裁の長谷川恭弘裁判長ら)は東京・大阪高裁には決して入れない、そうなりそうな地裁裁判長はそもそも高裁裁判長にしないなど、人事において驚くべき「狭量」を示すのは、最近の政権と相似形とも言える。

何と「最低 賃金割れ」の「プア」な地方の 公務員

2024年07月23日 12時04分34秒 | 地域手当
国家公務員の給与が最低賃金割れ
高卒初任給、全国200機関以上で
(朝日新聞デジタル)
https://digital.asahi.com/articles/ASS7L3HMSS7LULFA006M.html?ptoken=01J3BW29Y62RCAF4Z2MX2MBW1S

公務員「ワーキングプア」問題がここまで来ているとは驚きだ。
記者が指摘しているとおり、国家公務員の地域手当の格差も大きな要因となっている。
今日の午後は中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会が開催され、最低賃金の今年度の引上げの目安が事実上決まる見込みという。

パンを盗んだ ジャンおばさんを 懲戒免職「あゝ無情」

2024年07月23日 08時26分47秒 | 判決どどいつ
昨日の名古屋地裁判決から。

廃棄前の食材を持ち帰ろうとして懲戒免職
名地裁、処分取り消し命じる
(中日新聞Web)
https://www.chunichi.co.jp/article/931352

「正直>誠実>勤勉」の順は 対抗要件 でも同じ

2024年07月22日 17時01分46秒 | 自選どどいつ
私の著書「『裁判官の良心』とはなにか」の第一章にも掲載した講演で、自分の「良心」の内容は、第一に「正直」、第二に「誠実」、第三に「勤勉」の順だと披露した。

独自の見解のように思われてもいけないので、法律と判例でもそうなっているという例を挙げてみる。

法学部生が真っ先に学習するであろう不動産の二重譲渡と対抗要件(登記)の問題が好例である。
①自分が売主から買ったという二人の買主が互いに争った場合、民法177条の規定により、先に所有権移転登記を経由した方が勝ち、登記を怠っていた方が負ける。
これは「勤勉」基準。
②しかし、先に登記をした方であっても、例えば他方を裏切って出し抜いた「背信的悪意者」は、民法1条2項の信義則違反とされ、負けるというのが確立した判例である。
これは「誠実」基準。
③以上の大前提として、そもそも売買が架空のものであれば、民法94条の虚偽表示により無効である。
これは「正直」基準。
ね、やはり、私の説と同じ優劣の順序になっているでしょ。

判決書かずに 最高裁の 長官になれる「官僚化」

2024年07月21日 15時30分27秒 | 自選どどいつ
最高裁事務総局の局付
法務省の局長・局付・訟務検事
高裁の事務局長
最高裁の局長・課長・参事
地家裁の所長
高裁の部総括
最高裁事務総長
高裁長官
最高裁判事
最高裁長官

これらは「エリート官僚裁判官」の典型的な歴任ポストである。他にも司法研修所や最高裁調査官室の勤務を含めてもいいかも知れない。司法行政のみならず法務省への「出向」ポストまで、あたかも当然のように含まれる。
地家裁判事・判事補の通算経験年数は概ね十年以下で高裁部総括に昇格して行くのだが、これらのポストの共通点は何か、お分かりだろうか。
答は「判決を書かなくていい」という点である。
地家裁所長は裁判を担当しないし、
高裁部総括は陪席が書いてくれる。
高裁長官も大半は裁判を担当せず、
最高裁では調査官が書いてくれる。
したがって、判決を書かなくても、これらのポストは務まってしまう。
最高裁判事は、裁判官以外の出身者もいるから、それでも可としよう。しかし、キャリア裁判官でありながら判決起案能力を問われないまま出世するのはいかがなものだろうか。
「官僚裁判官」すなわち瀬木比呂志元裁判官が言う「法服を来た役人」が出世できるよう仕組まれているように思われる。
(写真)私の任官直前以降の歴代最高裁人事局長。
弁護士任官に殊更に厳しくなったのは、どこからなのだろうか。

3年先まで「上がり」の順も 予測可能な 最高裁

2024年07月20日 19時29分38秒 | 裁判
今回の最高裁判事・高裁長官人事の発表によって、そのまた先の人事もかなりの確度で予想できるようになった(以下、敬称略)。
(写真)最高裁判事の70歳、後任候補者の65歳の誕生日(定年退官日はその前日)を順に並べた表。
なお、最高裁判事の記号は「上がり」の意味、堀田・氏本の記号は「期が私よりも下(舌)」という意味で付しただけで、他意は無い。

①安浪最高裁判事の後任は、
堀田・次期東京高裁長官(41期・現最高裁事務総長)
②林最高裁判事の後任は、
氏本・次期最高裁事務総長(45期・現甲府地家裁所長)
③今崎最高裁判事の後任は、
小林宏司・最高裁首席調査官(41期)
といったところだろうか。

②と③は期の順が逆になってしまうが、この順でなければ、氏本は最高裁に入れない(小林は2028年3月1日に65歳)。
また、堀田東京高裁長官を除く高裁長官たち(小野瀬次期仙台高裁長官を含む)や矢尾和子司法研修所長らは全員、①までに定年退官を迎えてしまうため、最高裁には入れない。

しかし、一般に「裁判をしない裁判官」の親玉である事務総長の最高裁判事就任は、本来畑違いであって、好ましくないと考えている。
かつての竹崎氏のように最高裁判事を経ずに最高裁長官になった方が、小法廷の裁判に関与しないだけ害が少ないとさえ言える。
まあ、大法廷回付必至の私の裁判の上告審とは関係ないけれど。

「事務官」トップが 裁判官の 上に君臨 する異常

2024年07月19日 18時45分47秒 | 裁判
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024071900379&g=soc

そもそも、裁判官ですらない最高裁事務総長(裁判所事務官のトップ)が、あたかも当然のように、下級裁判所のトップである東京高裁長官に就任するというのは、裁判所組織として正常とは言い難いと思う。
裁判官人事全体を握っている立場にあると思われるが、自身の東京高裁長官就任も、形式的には内閣の任命と最高裁裁判官会議による補職を経るにせよ、実質的には自分で決めたのだろうか。そうだとすれば、恐るべき権力者である。
(写真)山中理司弁護士HPの最高裁入り予想
そして、前例に従えば、次は最高裁判事がほぼ確実というポストでもある。
仮にそうなったとしても、私の裁判においては、最高裁大法廷に係属した際に回避するのは当然として、おそらく証人として出廷してもらわなければならない立場でもある。
これを「官僚司法」と言わずして、何を言うのかという感想を抱く。

任官仲間が 我より偉く 見ゆる日もまた 泊まり込み

2024年07月18日 21時43分22秒 | 自選どどいつ
(写真)今朝の朝日より。
今日、弁護士任官者からまた高裁部総括が誕生した。
定年退官した大阪高裁第一民事部総括の後任に、嶋末和秀和歌山地家裁所長(42期)が就任。
比較的最近では、
北澤純一(39期)元東京高裁部総括
本多久美子(39期)大阪高裁部総括
高宮健二(42期)広島高裁部総括
に続く昇格。
42期の二人は、私よりも年下。
四人とも地家裁所長を経て高裁部総括に指名されている。
弁護士任官者は「中途入社」だから出世が遅いのではないかと言う人もいるが、そうではない。
弁護士任官者の間だけで見ても、三年遅れ以上の露骨な昇格昇給差別が明らかになっている。