弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

任官仲間が 我より偉く 見ゆる日もまた 泊まり込み

2024年07月18日 21時43分22秒 | 裁判
(写真)今朝の朝日より。
今日、弁護士任官者からまた高裁部総括が誕生した。
定年退官した大阪高裁第一民事部総括の後任に、嶋末和秀和歌山地家裁所長(42期)が就任。
比較的最近では、
北澤純一(39期)元東京高裁部総括
本多久美子(39期)大阪高裁部総括
高宮健二(42期)広島高裁部総括
に続く昇格。
42期の二人は、私よりも年下。
四人とも地家裁所長を経て高裁部総括に指名されている。
弁護士任官者は「中途入社」だから出世が遅いのではないかと言う人もいるが、そうではない。
弁護士任官者の間だけで見ても、三年遅れ以上の露骨な昇格昇給差別が明らかになっている。

東京高裁「不運」の誤判?「暗殺」前日 言渡し

2024年07月12日 20時32分43秒 | 裁判
今日の中日コラム「夕歩道」から。
https://www.chunichi.co.jp/article/926747
これが常識的な見方だろう。
(写真)破棄された原判決が言い渡された翌日、あの事件が発生した。
もし、言渡日が1週間後であれば、判決期日を延期するか、弁論を再開して考え直しただろう。
しかし、教団の霊感商法や巨額献金が社会問題になったのは、昭和末期から平成初期にかけて以降。それほど昔の事ではなく、東京高裁の裁判長クラスが知らないはずはない。
やはり「不運」と言うよりも「不明」。
不見識極まりない判断と言われても仕方がないだろう。

「長期未済」が 一掃されて「平成くん、さようなら」

2024年06月30日 14時19分08秒 | 裁判
先週木曜日に「十年裁判」の判決を言い渡した。
平成26年7月提訴事件を初めとする住民訴訟3件の併合事件。
今年2月に判決を言い渡した生活保護引下げ集団訴訟よりも前から係属していた裁判である。
一審としては何とか10年以内に終局することができたが、この事件になぜこれほどの審理期間を要したのかは、私の前の数代にわたる裁判長たち共々、大いに反省を要するだろう。

これで当部の最も古い年号の事件は、一挙に6年も若返り、令和2年新受の3件(係属期間4年以内)となった。

(写真)私の著書からの抜粋
裁判長としての「長期未済処理」の手腕についても、適正に評価していただけるのかどうか。
ちなみに、明日は毎年定例の昇給日である。

転出した両陪席につき3か月間の職務代行発令を得てまで完成した大判決なのに、全く報道されなかったので、傍聴してくれた方のブログを引用。
判決言渡しの際に右眼に眼帯をしていたため、心配して下さった。

http://blog.livedoor.jp/mieken1876418/archives/52029922.html

ご心配ありがとうございます。
決して「右目やってしもた」わけではなくて、20年前に白内障で入れた眼内レンズが外れたので、新しいレンズに入れ替える手術をしただけです。
まだ白眼が少し血走っているので眼帯をしていましたが、よく考えてみると、遠くの傍聴席から分かるほどではないので、しない方が良かったかも知れません。
今後とも傍聴人によく分かる法廷を心掛けたいと思います。

事務総局とは 対照的に 奮闘「教官」「調査官」

2024年06月22日 13時27分54秒 | 裁判

私の著書からの連載第5回が掲載された。

“裁判官の会議”は「見られたら、とても恥ずかしい」… 現職の敏腕判事の“勇気ある発言”を待ち受けていた「運命」とは(弁護士JPニュース)

https://www.ben54.jp/news/1258

私の著書の中では珍しく司法研修所だけは褒めた。実際に最高裁の下の「裁判をしない裁判官」の中で、最もよく働いているのは、研修所教官(司法修習生を指導する教官だけではなく、裁判官・書記官・調査官の研修を担当する教官もいる)と、最高裁調査官だと思う。
したがって、高裁長官→最高裁判事→最高裁長官と出世するのに適任な高官は、事務総長(在任中は裁判官ですらない)などよりも、まずは司法研修所長・裁判所職員総合研修所長及び最高裁首席調査官であろう。特に後者は、調査官として最高裁判決に関与して来たのだから、最高裁判事になってからも論客が多い。
しかし、現実の人事は必ずしもそうなっていない。事務総長(戸倉・今崎)・人事局長(安浪)及び法務省民事局長(深山)等の経験者が裁判官出身の最高裁判事6名の過半数を占めている。


「判決要旨」は 裁判官が 作っているとは 知らなんだ

2024年06月17日 18時31分37秒 | 裁判

私が二十年余り前に弁護士任官してから認識を改めたのは、当時はよく新聞に掲載されていた「判決要旨」は、新聞記者ではなく、裁判官自身が作成しているということだった。
公害裁判のような長文の判決の場合は、原告弁護団員として裁判所から判決要旨を受け取った経験もあるので、そうであろうと知っていたが、それほど長いわけではないが報道対象になる判決についてもそうだとは思っていなかった。てっきり、記事を執筆する各紙の記者が掲載までのごく短時間で要約しているものと思い込んでいたのだ。冷静に考えてみれば、記者にそんな芸当ができる訳が無いのだが。

(写真)任官して最初に「判決要旨」を作成したのは、東京高裁で判決した、旧日本軍の爆雷が廃棄物処理中に爆発して工場ごと吹っ飛んだという裁判だったと記憶している。この事案で国家賠償を認める場合に、時効と除斥期間の起算点はいつになるのか。私たちは当然に爆発時であるとして請求を認容した。実は同様の事案が中国で起きた場合に熾烈に争われていたこともあって、報道された。
かなりの分量の判決書を完成させた後に短期間で「判決要旨」を作成するのは大変だった。そもそも、判決理由は多かれ少なかれ裁判官3名の妥協の産物なので、どの部分を要旨として抜粋するかで、意外に議論が紛糾するのだ。

最近は、裁判官にとって余計な仕事を増やすだけだと事務方が忖度しているのか、判決要旨の求めをなるべく記者にさせなくなったという。確かに、法律上の位置付けの無い文書を裁判所が「便宜供与」として出す事には、批判もあり得るところだ。
そこで、私は、判決文の中に「判決要旨」に当たる部分を取り込んではどうかと考えている。
その実践例が、遅まきながら、裁判所ホームページに掲載された。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=93020

この判決の21〜29頁当たりも、そのつもりで書いたもので、言渡しの際はその前後を全部読み上げた。
聞いていても分かりやすかったと、傍聴者の評判は上々だったと感じている。


証拠の一角 崩れたならば 全面開示を 命じては?

2024年06月14日 09時32分55秒 | 裁判

今日の中日社説から

https://www.chunichi.co.jp/article/912820

この問題に関連して、私が最近思いついた再審ルールの改正案を披露したい。

最高裁白鳥決定が樹立した判例では、新規性のある証拠が提出された場合、新旧両証拠を総合して、新証拠の明白性の有無により、再審開始の可否を判断することになっている。

しかし、その具体的な判断は区々に分かれており、基準としては極めて不安定である。

そこで私案だが、新証拠の新規性が認められる場合は、検察官に公判未提出証拠の全面開示を命じ、その検討を経た上で、再審開始の可否の判断をしてはどうだろうか。

新規性のみで再審開始をするには法改正が必要だが、全面的証拠開示命令をするだけならば、現行法の下でも運用ルールとして可能と思われる。

死刑判決の決め手であったはずの歯型鑑定を崩したのに再審開始にならない名張事件、DNA鑑定を崩したのに再審開始にならない飯塚事件などの事例に接するにつけ、事ここに及べば、もはや全ての証拠を開示して決着を図るべきではないかと痛感させられる。

 


傍聴動員 反面教師 言語道断 支離滅裂

2024年06月10日 08時26分11秒 | 裁判

先週日曜の毎日新聞
「松尾貴史のちょっと違和感」から

横浜市教委傍聴動員
「児童の人権」持ち出すずる賢さ
https://mainichi.jp/articles/20240602/ddv/010/070/009000c

おそらく横浜の市民オンブズマンが黙ってない!


起訴されたなら 即「有罪」で 再審開始は 即「無罪」?

2024年06月06日 19時44分33秒 | 裁判

昨日の決定を今日の朝刊の社説で取り上げたのは、管見の限りでは、中日・東京新聞と京都新聞・徳島新聞・信濃毎日新聞。

〈社説〉飯塚事件の再審 司法の責任が問われる(信濃毎日新聞)
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2024060600089

普通ならば公開法廷の公判で証人尋問をやり直して、それこそ白黒つければいいのに、現行法の再審制度ではそうならない。
「再審開始決定≒無罪判決」というに近い、重い運用実態になっていることも、開始決定を躊躇させる方向に働くだろう。
やはり、再審法制の改正の必要性を痛感させられる。

(写真)折しも事件を題材にした映画上映中。

それにしても実に重い事案だ。

裁判官にとっては究極の「ハードケース」だろう。


講演録だと 読みやす過ぎて 誤記もスラスラ 読み飛ばす?

2024年06月05日 00時04分44秒 | 裁判

私の本に、さらに驚愕の誤記が発見されました。
29頁の③「しかし、死刑存置論は日本ではまだまだ少数派だ。」の「死刑存置論」は「死刑廃止論」の誤記でした。
これでは全く逆の意味になってしまいます。

私も出版関係者の誰も気付きませんでした。

申し訳ありません。


俗論・フェイクに 引きずられずに「ええ愛はあるんか?」AIに

2024年06月03日 12時51分45秒 | 裁判

現職の“裁判官”が語る…「法律と判例」があっても“生成AI”には裁判官が絶対に務まらない「決定的な理由」とは(弁護士JPニュース)https://www.ben54.jp/news/1197


「次のような」の 誤記ご指摘の 先生どうも ありがとう

2024年05月31日 23時14分58秒 | 裁判

献本した著名な法学部教授から、過分なお褒めの言葉と共に、誤植のご指摘をいただきました。

拙著3箇所目の訂正をさせていただきます。
70頁6行目
「次のよう」→「次のような」


罪滅ぼしの「合理的配慮」ふりがな付きの 説明文

2024年05月30日 23時19分24秒 | 裁判
昨日の最高裁大法廷から。
傍聴人に配布されるリーフレットにふりがなが付された。

「ギャグを言っては いけない」かどうか? 民事訴訟法の 新論点

2024年05月27日 18時19分59秒 | 裁判

一昨日のブログ本文末尾のギャグ引用について、ふざけ過ぎだからやめた方が良いと忠告されてしまった。
https://www.shochikugeino.co.jp/

これはなかなか難しい問題で、私も和解期日の合間に、あるタレント弁護士に「テレビ見てますよ」と伝えたら「裁判官、お戯れはおよし下さい」と叱られた経験がある。

英米では裁判官が法廷でギャグを言う事は珍しくないようで、判決に暗号文を散りばめた裁判官がいたことはニュースにもなった。イギリスの裁判官たちのジョーク集まで出版されている(写真)。

日本にもダジャレ好きで有名な元裁判官・加藤新太郎弁護士がいる。
代表作は、
「釧路地裁判事は失言が多い。なーんでか?」
「それはね、釧路湿原があるから」

などという他愛もないものだ。

ブログや著書で好きなギャグを使っただけでも「裁判官の品位」を問題にされてしまうのだろうか。
岡口基一元裁判官に対する過酷な処分のきっかけになった白ブリーフ写真や緊縛写真への非難も、その延長線上にあるように思う。
実に堅苦しい世の中になった。


ベストテン入り 待つ「今週の スポットライト」は 私の本

2024年05月26日 14時03分07秒 | 裁判

私の本が本当に売れるかどうか、本番の勝負は今週だ。
正式な発売日は5月29日なので、 予約されたAmazonの配本や一般書店での販売もその前後からになると思われる。
現時点では出版社LABO関係等のごく一部の書店にしか並んでいない。
主に予約受付だけの段階にしては、売行きは絶好調とのこと。


被告本人は「勾引」できぬ 錯覚していた ボクに「喝!」

2024年05月24日 21時06分18秒 | 裁判

私の本は、出版社であるLABOが経営している東京・弁護士会館の地下書店や大阪高裁一階の書店、それから私の出身会である愛知県弁護士会館一階の書店以外の、一般の本屋の店頭にはまだ並んでいないようである。
Amazonで注文しようとしたら「品切れ」だったという声を複数聞いた。そういう皆様は、改めて上記QRコードで試みていただきたい。たぶん、まだ予約はできると思う。

さて、誤記のお詫びの2件目。
85頁2行目の「出頭に応じなければ、勾引して強制すること」を「出頭に応じなければ反対事実を認定すること」に訂正させていただく。
民事訴訟法上、勾引は証人にしか認められていない。

弁解させていただければ、このような錯覚を起こした原因がある。
最近担当していた裁判で、勾引する直前まで行った事件があった。その対象人物はまさに不法行為を行った「張本人」であり、別に被告になっている裁判も係属していて他の裁判官が担当していたが、たまたま私が担当したその裁判では、形式的には原告でも被告でもない第三者であった。
こういうややこしい事案で錯覚をしがちである。お恥ずかしい。