弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

「念書」ビデオを 撮ってる事が「無効」の判断 裏付ける

2024年07月11日 22時29分20秒 | 「喝!」判決
今日の最高裁判決から。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93196

破棄された原審・東京高裁判決と、原原審・東京地裁判決に「喝!」だ。
最高裁から見ても不出来な裁判。
原告(献金信者の娘)曰く「とても長い年月です。もっと早く、1、2審でこの判決が出ていたら、母にも見せられたのに」
この感想を噛み締めるべきだ。
東京で優遇されている裁判官でも、この程度の裁判しかできなかったのだから、昇給や地域手当で冷遇されている側は、全く納得がいかないが、地方の裁判官も「他山の石」の戒めとしたい。

(写真)最高裁判決の理由中の事実認定部分の抜粋。
そもそも、献金者に将来にわたって返還請求訴訟を起こさないなどという念書を書かせ、ビデオを残すという事自体も、極めて異様と見るべきである。
過去にも、いわゆる商工ファンドを代表とする高利貸金業者が同様の手法を取った事がある。
逆パターンとして、就職初日から雇主との会話の一部始終を隠し録音し、時に挑発して「パワハラ解雇」を受けたと主張する事例も見られる。
いずれにせよ、意図的な録画・録音には、民事・刑事を問わず、騙されないように注意が必要だ。

「公社法」には「借地借家法を 適用しない」と 書いてない

2024年06月24日 18時25分08秒 | 「喝!」判決

今日の最高裁判決から。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93108

破棄された原審の東京高裁判決に「喝!」だ。
公は間違った事はしないはずだから勝たさなければならないなどというバイアスが働くと、こういう誤りを犯す。
特に多くの東京高裁部総括に顕著に見られる傾向のように思われる。


「男」しか認知 できないなどと 民法典には 書いてない

2024年06月21日 19時25分44秒 | 「喝!」判決

今日の最高裁判決から。
破棄された東京高裁判決(木納敏和裁判長)に「喝!」だ。

(写真)尾島明裁判官の補足意見から抜粋


自身の精子で子らを産ませた父が、男だった当時に生まれた長子は認知ができるのに、女に性別変更した後に生まれた次子は認知できないなどという「行き別れ」の結論は、いかにもおかしいと思わなかったのだろうか。これでは、父を長子は相続できるのに、次子は相続できないことになる。新たな「非嫡出子」差別を生むようなものだ。
法律論以前に、非常識極まりないと思う。

女性カップルの子に「父子関係」、最高裁が認める 性別変更後に出生(朝日新聞デジタル)
https://www.asahi.com/articles/ASS6N26F1S6NUTIL00BM.html


「性的好奇心」で 判決を読む? 「そんな奴おれ へんやろ〜」

2024年05月21日 17時18分01秒 | 「喝!」判決

裁判官弾劾裁判所の岡口罷免判決にも見るべき点はあった(その3)。

最高裁岡口第二次分限裁判決定の事実認定も必ずしも支持しなかった。
最高裁決定は全員一致で、刑事事件投稿を「閲覧者の性的好奇心に訴え掛けて興味本位で強盗殺人及び強盗強姦未遂事件についての判決を閲覧するよう誘導しようとする投稿」であったとした。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89658

(写真)しかし、裁判官弾劾裁判所は、そうとは言えないとした。岡口さんは変態裁判官と誤解されたのだという見方は、私も同意見である。これが常識的な認定だろう。
性的好奇心に訴える文書図画がネット上に溢れている現代、そんな目的で難解な判決文を読む輩がいるとは思えない。
半世紀前の人気テレビ番組「ウィークエンダー」の事件再現ドラマや、週刊新潮の「黒い報告書」等はこれに近いが、それでも判決文は読まないだろう。
判例となる可能性があるものまでも含めて、性犯罪の判決を一律にウェブ掲載対象外としている最高裁の基準自体に疑問を抱く。東京高裁の担当裁判官たちも、まさか対象外だとは思わないで掲載したのだろう。


職種限定で なぜ配転を 命じられるのか?「喝!」1号

2024年04月27日 10時29分07秒 | 「喝!」判決

昨日の最高裁判決から。
https://sp.m.jiji.com/article/show/3222429
原審裁判官は猛省すべきだろう。
①労働契約で職種を限定していた
②使用者が異なる職種に配転命令
という2点からして、
○配転命令は無効
という結論は、子どもでも分かる。
ところが原審は、
✖︎配転命令は権利濫用でなく有効
という驚くべき判決をしていた。

(写真)最高裁判決の理由を抜粋。

原審・大阪高裁の裁判官たちに「喝!」。

これが私の判決「喝!」「あっぱれ!」第1号だ。

原判決破棄差戻しの最高裁判決は、当たり前。
むしろ、この程度の高裁部総括の民事部があることが誠に嘆かわしい。
なぜ、筋の通らない屁理屈をこねてまで使用者を勝たせたのか、私には全く理解できない。