弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

販売妨害「シカーネ」ーだろう!マンション敷地 のみ移転

2023年10月23日 21時05分54秒 | 判決どどいつ
今日の最高裁判決から。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92441

どうも最近、最高裁の、特にキャリア裁判官出身の裁判官のバランス感覚には、首を傾げる判決が目立つ。

事案を簡略化すると、マンションの建築代金を支払えなくなった注文者が、請負人においてマンションを完成して分譲販売したいという提案を拒み、第三者に敷地のみを売却した形にして長期間販売を妨害したというもの。請負人が第三者に不法行為に基づく損害賠償を請求した訴訟。なお、その後、注文者は破産し、破産管財人が否認権を行使して敷地を取り戻し、ようやくマンションの売却を実現した。
どう考えても、注文者の意図は販売妨害でしかなく、これに呼応して協力した第三者にも一方的に非があり、法律的に理屈が立つ限りは第三者を敗訴させるべき事案と思われる。そして、その理屈が十分成り立つことは、原判決や堺裁判官(検察官出身)と岡裁判官(弁護士出身)の反対意見の言うとおりであろう。

ちなみに、シカーネ(Schikane)とは、権利者が自分には何の利益もないのにもっぱら他人を害することを目的として権利を行使することをいう。ローマ法以来,シカーネは禁止されている。