「アジア信頼醸成措置会議(CICA)」 (2014-05.23.)
上海で「アジア信頼醸成措置会議」(CICA)が開かれた。この会議は中国主導の「新アジア安全観」と位置付ける安全保障を巡る新しい秩序を中国が主導で作ろうという物である。
無論、内容は米国による包囲網形成の動きを強くけん制する事に終始した、中国の“援助期待諸国連合”で、いわばマイナーリーグの感は否めない、首脳の会議である。
従って、加盟しているのは中露と中央アジア4ヵ国で構成する上海協力機構なみの国家連合で、NATOや日米同盟に対抗する軍事ブロックを形成しようとする思惑がちらつく会議だ。
会議の内容は、終始中國が主導で、これほど、身勝手な主張が有り得るのかと言うほど唯我独尊思想に貫かれている。「我々は、主権と領土保全の尊重、内政不干渉の原則を遵守し、平和的協議で争いを鎮静化する」と主張しているが、南シナ海で公船が取り囲んで石油を掘削し、東シナ海で勝手に防空識別圏を設置して、日本の領海侵犯を繰り返す国が言える言葉かと言いたい。
また「アジアの安全は結局、アジアの人々が守らなければならない」と述べたが、アジアの安全を危機におとしめている唯一無二の国が中国である。アジアの人々は逆に中国から国を守らなければならないのが実態だ。将に「盗っ人猛々しい」とは此の事である。
ラッセル米国務次官補は20日外交委員会での証言で、南シナ海の領有権問題を巡って、中國とベトナムやフィリピンが対立を深めている事について、「中国が石油掘削作業を進めようとするなど、一方的に現状を変更しようとしている事が問題である」と認識を示した。
習近平はCICAを米国に対峙する組織に発展させたいのであろうが、会議を見る限り内部は呉越同舟と言っても良い。加盟国であるベトナムは国家副主席のグエン・テイ・ゾアン氏が「国際法を重視し武力行使や威嚇をおこなわないとの原則が重要だ。地域の紛争がその精神に基づいて解決される事を望む」とベトナム沖での石油掘削に強い懸念を表明した。
更にウクライナ問題では反ロシア的な提案がだされた。「ウクライナ情勢の沈静化に向けたロシアの努力の必要性を宣言する」事を上海宣言に織り込む案が出され、しかし、タス通信によるとロシアの主張で削除されたという。
日本からも北京大使館公使の堀之内秀久氏がオブザーバーとして出席、国際法に基づく紛争解決を訴えた。加盟国である韓国も対米関係を考慮すれば、無原則な対中接近は困難だ。どうやら習金平の思惑は空振りに終わりそうな気配だ。
(えびなたろう)
上海で「アジア信頼醸成措置会議」(CICA)が開かれた。この会議は中国主導の「新アジア安全観」と位置付ける安全保障を巡る新しい秩序を中国が主導で作ろうという物である。
無論、内容は米国による包囲網形成の動きを強くけん制する事に終始した、中国の“援助期待諸国連合”で、いわばマイナーリーグの感は否めない、首脳の会議である。
従って、加盟しているのは中露と中央アジア4ヵ国で構成する上海協力機構なみの国家連合で、NATOや日米同盟に対抗する軍事ブロックを形成しようとする思惑がちらつく会議だ。
会議の内容は、終始中國が主導で、これほど、身勝手な主張が有り得るのかと言うほど唯我独尊思想に貫かれている。「我々は、主権と領土保全の尊重、内政不干渉の原則を遵守し、平和的協議で争いを鎮静化する」と主張しているが、南シナ海で公船が取り囲んで石油を掘削し、東シナ海で勝手に防空識別圏を設置して、日本の領海侵犯を繰り返す国が言える言葉かと言いたい。
また「アジアの安全は結局、アジアの人々が守らなければならない」と述べたが、アジアの安全を危機におとしめている唯一無二の国が中国である。アジアの人々は逆に中国から国を守らなければならないのが実態だ。将に「盗っ人猛々しい」とは此の事である。
ラッセル米国務次官補は20日外交委員会での証言で、南シナ海の領有権問題を巡って、中國とベトナムやフィリピンが対立を深めている事について、「中国が石油掘削作業を進めようとするなど、一方的に現状を変更しようとしている事が問題である」と認識を示した。
習近平はCICAを米国に対峙する組織に発展させたいのであろうが、会議を見る限り内部は呉越同舟と言っても良い。加盟国であるベトナムは国家副主席のグエン・テイ・ゾアン氏が「国際法を重視し武力行使や威嚇をおこなわないとの原則が重要だ。地域の紛争がその精神に基づいて解決される事を望む」とベトナム沖での石油掘削に強い懸念を表明した。
更にウクライナ問題では反ロシア的な提案がだされた。「ウクライナ情勢の沈静化に向けたロシアの努力の必要性を宣言する」事を上海宣言に織り込む案が出され、しかし、タス通信によるとロシアの主張で削除されたという。
日本からも北京大使館公使の堀之内秀久氏がオブザーバーとして出席、国際法に基づく紛争解決を訴えた。加盟国である韓国も対米関係を考慮すれば、無原則な対中接近は困難だ。どうやら習金平の思惑は空振りに終わりそうな気配だ。
(えびなたろう)