きまぐれ発言

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有毒水道水でパニック;中國蘭州市で 

2014-05-05 10:50:19 | Weblog
有毒水道水でパニック;中國蘭州市で      (2014-05.05.)

中國北西部甘粛州蘭州市で4月中旬、水道水から安全基準値の20倍を超える発がん性物質、ベンゼンが検出された。
原因は近くの石油工場のパイプ漏れで、その発表に政府が10日間も遅れ、その間市民は飲料水として飲み続けて来た事が、大きなパニックに繋がっている。

発表は、4月11日午後2時頃蘭州市が「水道水から発がん物質が検出された」と発表した、そして「24時間以内に水道水を飲まない様に」と呼びかけた。当初は、市民達は近くのコンビニで飲料水を買いためる程度で、大した混乱は無かったが。その後、蘭州市にある中國石油天然ガス集団(CNPC)系列の会社が保有する石油パイプラインから漏れた原油が水道水の配管に浸透した事が原因で有る事が、メディアの報道で明かとなった。

蘭州市の水道工事は59年前の1955年に実施されたもので、配管の老朽化が進み水道水は数年前からすでに複数の有毒物質に汚染されていた可能性が浮上した。さらに、安全基準の20倍を超えるベンゼンが検出された汚染水のサンプルは4月2日に採取されたもので、政府が発表するまで、ほぼ10日の時間差があり、その間市民達は汚染された水を飲んでいた事も明らかになった。

市内のスパーでは、全て飲料水は売り切れとなり、子供を連れて病院へ精密検査を受ける人、蘭州を離れて一時避難する人、インターネット販売で他の地域から大量に購入する人等、パニック状態になり、市は3日後の14日に「ベンゼン検出はゼロとなった」と水道水の安全宣言を出した。しかし、市民は、「こんな短時間で、市内の配管を修復出来るわけがない。ベンゼンが無くても他の有毒物質に汚染されて居るはず」と政府を信用しない。
一部市民は「汚染水を飲まされた」として損害賠償を求め、地元政府と、水道会社に訴える訴状を提出しようとしたが、裁判所が受理されなかったと言う。

蘭州市は人口360万人を擁する中国内陸部の工業都市であると同時に貧しい地域でもある。近年、環境対策条例が厳しくなり、沿岸部で運営が出来なく成った工場が蘭州などの内陸部へ移ったケースが多い。

ある中國人ジャーナリストによれば、水道水が汚染されている危険がある都市は、蘭州だけではなく、長春、貴陽、西寧など多くある。

中國の環境問題の深刻さは以前から国際社会から指摘されているが、その中でも発展が比較的遅れている内陸部にしわ寄せが行き、さらに深刻な状態になって来ているのが問題だ。
(えびなたろう)