日々のあれこれ

現在は仕事に関わること以外の日々の「あれこれ」を綴っております♪
ここ数年は 主に楽器演奏🎹🎻🎸と読書📚

人生初コンサート むたゆうじさん♪

2011-02-07 01:28:56 | Weblog

  あれは高校受験を控えた中学3年生の時だった。

音楽の先生が御自身の教え子であり水俣を代表するシンガーソングライター、むたゆうじ さんを母校へ招いた。

水俣第3中学校体育館で開かれたコンサートは、私にとっては人生初のコンサートだった。

私は運よくチビだったため、前から2列目という、ほぼ最前列の特等席で、ギターを弾きながら歌う、むたゆうじさんの姿を見いっていた。

語りかけるような優しい声とギターから生まれる旋律の曲は、一直線に こちら側の心に届く。

中でも一番、心に響いた曲は、「小さな一歩」だった。

 

いま 新しい 歴史の中に

小さな 一歩を

踏み出そう

 

当時、15歳になったばかりで、思春期 真っただ中だった私。

都会からやってきて、ちゃんと県立校に入れるか、落ちれば私立高校 それは世間の恥

そんな人生初の "受験生" という重圧がのしかかってきて、クラスメイトがみな、競争相手。

振り落とされるか、合格できるか

いつも同じ教室の中にいて 

クラスメイト達は ライバルであり 同時に仲間

心は いつだって振り子のように 不安定で 臆病で 

いつも何か目には見えない何かに追い立てられているようで

ふっと消えてしまいそうなくらい 

何が本物で なにが偽物なのか

いつも不安で怯えている

そんな思春期だった

 

そんな時期だったのだ。

むたゆうじさんの 母校でのコンサートに耳を傾けたのは。

ひとことで言うと、こころが震えた。

何も体育館が冷え冷えとしていたからではない。

目がみえない

耳が聴こえない

だけど こころで見える

目で聴こえる

そんな 特技を持った子供達のことを 歌う むたゆうじさんに 歌に 心に 

静かに感動したのだったー。

 

「こんなに熱心に聴いてもらったのは、初めて」

コンサート終了直後、むたゆうじさんは、私達、後輩である生徒達の前で言った。

アンコールも忘れるほど、 立ち上がれないほど、感動して動けなくなることってある。

こんなことも…あるんだ。

 

一週間ほど経った頃だっただろうか。

中学校でのコンサートのあと、水光社(生協スーパー)の駐車場を貸し切って、コンサートが開かれると聴き、叔母と二人で跳んで行った。

中学校で むたゆうじさんのコンサートを聴き、感動しまくった私は、帰宅後、早速、祖父母や叔母に一気に喋ったのだ。

「あぁ、無田さんの息子さんやろう。しっとる、しっとる!」

驚いたことに、祖父は言う。

「え~? おじいちゃん、むたゆうじさんを知ってるの?」

「息子さんやろ。**町に住んでるむたさんの。直接は知らんけど、水俣は狭かけん、お父さんなら知っとる」

「子供達のことを歌った曲が殆どでね・・・凄くいいんだ!」

叔母は大変興味を示してくれ、「じゃぁ、私もコンサートを見に行く!」 と一緒に来てくれたのだった。

 

この時も、前の方の席を陣取り…むたゆうじさんが歌う、一曲、一曲に聴きいった。

体育館で体感した 心の震え、今、再びの感動を最初の一曲からラストの曲まで、噛み締めていた。

今回は、ストレートの長い髪がなびく、キュートな声でしゃべる奥様のマリさんも一緒だった。

(あ~もう、あんなに可愛い奥さんがいるんだ~)って思ったっけ。自分は中学生だったけど(苦笑)

 

サインを貰おうね! 叔母とは、コンサートへ出かける前に、そう話し、スケッチブックを持参していた。

そしてコンサート終了。

急いで、むたゆうじさんの後ろ姿を追いかける。

声をかける勇気が無かった私に代わって、叔母が声をかけてくれた。

「あの・・・サイン、して頂けますか?」

叔母の声に、私もハッと我にかえり、手に持っていたスケッチブックを差し出した。

むたゆうじさんは、「恥ずかしいから、車の中で書いてこよう。ちょっと待っていてくれる?」

というと、はにかんだように笑った。

あ~、笑ってくれた! 私に、いや、私達にほほ笑みかけてくれた!

天にも昇る気持ちって、こういうのを言うんだ。

15歳の少女には、夢のような、いや、夢以上に夢心地な出来事だった。

 

しばらくすると、むたゆうじさんがスケッチブックを手に戻ってきてくれた。

当時、33歳だった叔母と、15歳の思春期だった私と、すっかりミーハーだ。

スケッチブックを受け取ると、そこには詩が書かれてある。

名前だけじゃなくて、詩を書いて下さったんだ・・・ 私の、一人のファンのために・・・?

じわじわ~っと、再び感動が押し寄せる。 

その隣では、「握手して下さい!」という叔母のリクエストに むたゆうじさんは、ニッコリ笑い、かたい握手を交わしていた。

勿論、私も おこぼれを・・・。

十代の私には、手を差し出すことすら、なんだか、気恥ずかしかった。

手を差し出していいものか、引っ込めてしまいそうな手を むたさんは、しっかりと力強く握りしめて、握手してくれた。

受験、頑張れよ! 握られた手から、そんなメッセージが伝わってきたような気がした。

受験は人生の通過点に過ぎない。

失敗したら、 人生、そこで終わる訳じゃない。

そんなことさえ気付かずに とてつもなく大きな山が行く手を遮っているかのように 受験を捉えていた私。

 

そんな私を「あのとき」 も。

そして、 「そのあと」 も。

頑張るんだーと支えてくれたのが、むたゆうじさんが書いてくれた詩だった。

 

春の訪れに

喜びの うたを 

こころの底から 歌っているのは

怯えるこころを 抱きながらも

辛い冬を乗り越えたものたち

君の心よ

光れ!

むたゆうじ

 

 

 ・・・と、ここまで数日前に書いていました。

詩の一部を書くので、御本人に許可を頂かないと…

そうだわっ! 今の世の中、"検索機能 " という便利なものがあるんだ、と思い立ち、検索するとー

辿り着きました! むたゆうじさんの公式HPに!

早速、メッセージを送信するとー

前日の記事にも書きましたが、心温まるメールを頂きました。

「むたゆうじさんのことをブログに書かせて下さい」とお願いしたものの・・・

今、読み返すと、きゃ~ やっ・・・やっぱり、御本人に読まれるのは、恥ずかしいーっ

と思うのでありました。

そして・・・

ずっと知りたかった、「小さな一歩」の詩を書いて下さっていました。

次回、御紹介しますね。

 

すず

 

 

 

 

 

 

 

 

Comments (8)
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