2012年3月14日(水) アルガルベカップ
この11日は、東日本大震災が起こって、1年になる節目の日であるが、この関連については、別途取り上げる事とし、今回は、サッカーの話題としたい。
昨年7月、ドイツで開催された、FIFAワールドカップ女子大会で、我が、なでしこジャパンが、並みいる強豪を撃破して、なんと、優勝したことは、忘れられない快挙だ。
そのあたりの感動を、下記のブログにも、述べている。
なでしこの快挙 その1 (2011/7/20)
なでしこの快挙 その2 (2011/7/26)
このニュースは、大震災に打ちひしがれていた日本にとって、何と多くの、勇気と希望を与えてくれたことだろうか! その後、澤選手と佐々木監督が、FIFAの年間MVPと、最優秀監督に選ばれたり、国内では、チームに対して、国民栄誉賞が授与されたりするなど、ムードは大きく盛り上がり、日本女子サッカーの認知度が、国内・国際に亘って、一気に高まったのは言うまでも無い。その、余勢を買うように、この夏のロンドンオリンピックへの出場権を、早々と獲得してもいる。
さて、先月末から、ポルトガル南部のアルガルベ地方の中心都市ファロ周辺で始まった、アルガルベカップは、余り聞き慣れない国際大会だったが、女子サッカーにとっては、オリンピック、ワールドカップに次いで、三番目に権威のある大会のようだ。大会の様子は、TVでも放映され、観戦できたので、大まかに振り返ってみたい。
ポルトガル国旗 アルガルベ地方
参加数は12チームだが、強豪がそろうA、B組と、やや弱いC組に、各4チームづつ振り分けられて、先ず、予選リーグを戦う。
日本は、B組で、アメリカ、デンマーク、ノルウエーが相手だが、A組には、ドイツ、スエーデン、アイスランド、中国が入っている。C組は、主催国のポルトガルなどだ。
続いて、予選の結果に応じて、やや変則的な組み合わせの順位決定戦が行なわれ、1~12位までの順位が決まる。
予選リーグの日本の緒戦は、2月29日のノルウエー戦だ。先制点を奪われ、苦しい展開となったが、前半のロスタイムに、FW永里が、左からのクロスボールを、ヘディングで合わせようとして外れたのだが、幸いに身体で止めて足で押し込んだボールが、運よくゴールして、1-1の同点となって折り返した。
ノルウエー国旗
後半も一進一退が続いたが、MF川澄の放ったシュートが、相手のDFに当たり、オウンゴールのように、それがラッキーにも決勝点となり、2-1で勝ち点を得た。
3月2日のデンマーク戦は、やや楽勝ムードで、日本も、思い切って新人を入れるなども、試みられた。
デンマーク国旗
後半、若いFW菅沢が、スライディングしながら、近賀のクロスに合わせて得点するとともに、後半交代して加わった大野が、相手のミスを捉え、ベテランらしく相手を交わして、シュートし、2点目の得点となり、2-0で勝利した。
3月5日の米国戦は、B組の雌雄を決する大一番だ。先の、ワールドカップの決勝で、劣勢の日本が、アメリカに追いつき、PK戦で、優勝をもぎ取った、と言う、曰くつきの対戦だ。アメリカは、FIFAランキング一位のプライドにかけても、雪辱戦に挑んでくるのは、必定であった。
前半は、アメリカのパワーが勝り、危ない場面も多かったのだが、オフサイドに救われたり、相手のシュートが、ポストに当たるなどして外れ、何とか、0-0で凌いだ。
アメリカ国旗
後半も、中々チャンスは訪れなかったのだが、引き分けが予想される39分、日本が、運よく、左のCKを得た。
名手宮間の絶妙のキックがゴール前に飛んだ。それを、途中交代して入ったFW高瀬が、するすると、ディフェンスを外して出て来て、見事なヘッディングで合わせたのである。これが決勝点となった。
ワールドカップでは、日本は、PK戦を制して勝ったが、記録上は引き分けのようで、これまで、25敗4分け、だったアメリカから、歴史的な初勝利を得たのである。
宮間と高瀬の間で、予めどのように打ち合わせて居たのかは分らないが、幾つかのパターンの中の一つだったのだろうか。
決勝戦は、A組一位のドイツと、B組一位の日本との間で、3月7日に行われた。
前半にあっと言う間に、相手に2点を先制され、暗いムードになったのだが、ナデシコは諦めなかった。粘り強く、1点をとり返し、1-2で折り返した。
ドイツ国旗
後半は、日本が追い付いて、2―2とするも、相手にPKを与えてしまって、ドイツに加点され、2-3となる。それも、日本が、何とか追いついて、3-3にしたので、W杯のように、PK戦かと期待したのだが、終了間際のロスタイムに、ドイツに加点されて、結局、4-3で敗れた。
相手の最後の得点は、オコイノ・ゴンバビ選手が、GK海堀を交わすために、ボールを大きく上にあげ、前に走り込んだ所で、バウンドして上がったボールに後ろ向きになって、オーバーヘッドで合わせて、枠を捉えると言う、ハットトリックの技ありの得点であった。
日本としては、惜しい、準優勝だが、追いついたと思ったら又引き離される、の、目まぐるしい繰り返しで、一度も先行出来なかったのには、彼我の力の差を感じさせられた。
終了後の佐々木監督のコメントにもあるように、今大会は、優勝を逃がして惜しかったと言うより、オリンピックに向けて、色んな事が試せて、多くの課題が分り、多くの収穫があった、と言えるだろう。
今回優勝した、このドイツだが、FIFAランキングでは、アメリカに次ぐ2位と言う強豪なのに、昨年のW杯の結果から、オリンピックには出場できないと言うから、ヨーロッパ各国の、層の厚さには驚かされる。
オリンピック前のこの4月1日に、国内でのキリンチャレンジカップで、再度アメリカチームとの対戦があるようだ。こんどこそは、米国は、三度目の正直と、持てるすべての力を集結して来るだろう。
なでしこジャパンは、今回から、キャプテンは、宮間選手となり、若手も多く起用された。澤選手は、体調不良で、殆ど姿を見せなかったのだが、新しい体制が整いつつある印象である。
なでしこジャパンが、夏のオリンピックで優勝する事が大きな目標だが、これが、澤の花道になって欲しい、と願っている。