2024年4月4日(木) ファンデルワールス力
先日、NHKのテレビを見ていて、「ファンデルワールス力」という、聞き慣れない言葉を知った。
壁や天井や窓などに平気で張り付いて動き回る、「やもり」の持っている、不思議な能力がこの力に拠っているという。
下図は、やもり(ニホンヤモリ)である。
家を守るとして、やもりと言われ、毒はなく虫などを捕るので、大事にされ、よく見かけたものだ。
地球の重力に逆らって、あちこち動き回るが、壁などに張り付く時、下図の、足裏にあるたくさんの剛毛(50万本とも)に秘密があるようだ。
この剛毛と壁の間に働くのが、分子間結合力で、ファンデルワールス力と呼ばれるようだが、この力は、なんと、量子力学に基づいて説明されるようだ。(ファンデルワールス力 - Wikipedia.html)
この呼称は、以前、この力の存在を提唱した、オランダの物理学者、
Johannes Diderek van del Waals
(ヨハネス ディデレク ファン デル ワールス)
の名前に因んで付けらたようだが、2000年になって、カリフォルニア大の研究者(Full氏)により、ファンデルワールス力の存在が証明されたようだ。
先日観たNHKのテレビというのは、日曜夜の、「ダーウインが来た」である。
番組のディレクターが、面白い実験をやってくれた。
ファンデルワールス力を備えた4枚の板を両膝と両手に付け、垂直の壁に、短い時間だったが、見事、張り付いたのである。
下図は、ネットで見つけた、その時の画像だ。
(参照:「家(うち)のカワイイお隣さん!ヤモリの秘密」制作ウラ話 - ダーウィンが来た! - NHK.html)
動物の機能などを模倣する技術は、バイオミメティックス/バイオミミクリー(生物模倣)と呼ばれる。(参照;バイオミメティクス - Wikipedia.html、バイオミミクリーとは・意味 _ 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン )
この時に使われた、ヤモリの足裏を模した4枚の板は、これに当る。
生物模倣の具体例は多く、他には、以下などがある。
・新幹線の先頭車両の流線型の形状(下図右)は、カワセミの嘴(下図左)を模倣しているという。
・ミツバチの巣(下図左)は、六角形を集合した、文字通りのハニカム構造である。六角形は、空間を埋めるのに、無駄が出ず、使用材料も少なく、容積が大で強い構造である。サッカーゴールのネットには、四角形もあるが、下図右のような、ハニカムの六角形もある。
ハニカム構造は、外部からは見えない場所で、航空機、ロケット、船舶、電車などの構造部材など、実に多くの用途があるようだ。
・マジックテープなどの面ファスナーは、スイスの研究者が、ゴボウの種(下図左)が衣服にひっつくのを観察して、面ファスナー(下図右)を思いついたようだ。マジックテープは、一般名ではなく、特定の商品名という。衣服などで多く使われている。