「折り紙」が世界中に知れわたる前の話だ。
ある時、訪米の機会にアメリカの子どもに鶴を折ってあげようと殊勝な心掛けを持った。ただ、生来不器用だから出来がわるい。それでロスからニューヨークに向かう機内で、折り鶴の特訓をしていた。
何個か出来上がると、傍らに来たスチュアーデス(今はCAかFAというか)が「これは何ですか」と訊く。
私は不覚にも鶴の英語を知らない。そこで「Japan Airlines」と頭の上に両手で輪を作った。
「Oh Crane 」彼女は言った。そうかクレーン車の首振りは鶴が語源か。とっさにJALに思いついたのは飛行機内だったからだ。
そうそう折り鶴は、ワシントンのダレス空港で行列して待つ子供たちに折ってあげた。これがよい時間つぶしになった。鶴の恩返しかな。
『文藝春秋』三月特別号の建設・鉱山機械メ―カー「コマツ」の記事を読んで思い出したことでした。