陸に上がったカッパの海無し県生活

潜りから漁師へ。身体を壊し船を下りた。
海の話、釣りの話。脳脊髄液減少症。

戦争の傷跡

2006-06-07 01:24:46 | 海の話
潜り(潜水士)の仕事の種類は数々あれど、
やはり主体は水中土木であろうか。

水中土木と一口に言っても、これまた仕事は非常に多岐に亘る。
しかし、陸上の土木現場などと違って、各職種の専門家が潜る訳ではない。
つまり、潜りを職業とする人間が全ての仕事の専門家になる訳だ。
時には鳶、時には配管屋、時には鍛冶屋、等々・・・
そんな海での工事現場の第一歩、これは不発弾や残留機雷探しから始まる。
そう、未だに何処に残っているか分からない戦争の遺物だ。

古くには実際に、航路浚渫中の作業船がバケットで爆弾を掴んでしまい、
死亡事故になった事もあると聞く。
また、陸上でも時に不発弾の発見がされる事がある。
だから工事に携わる場合には、
そのような事故が起きないように爆弾を探すわけだ。

例えば地質調査のボーリングなどする場合、
その半径数十Mを、潜りが金属探知機を持って捜索する。
反応が出れば一応は、空き缶であれ、金属片であれ、
何でも船の上に上げるのだが・・・。

しかしこれ、仕事をしていた当時は何も疑問に思っていなかったのだが、
もし残留機雷など発見していれば、今考えると非常に恐ろしいことだ・・・
まあ爆弾ならいざ知らず、
機雷が海底に残っているという事は普通に考えればないのであろうが。

その理由
機雷にも色々な種類がある。

爆発方式
磁気に反応するもの、接触により反応するもの、
接触から何分、何時間後などに爆発するようタイマー設定してあるもの、
船のプロペラ音、回転数などに反応するもの・・・

繋留方式
浮遊機雷、繋留機雷

普通の爆弾なら信管に触れない限りは大丈夫だと思うのだが、
爆弾にも色々と爆発方式が有るのかも知れない。
そこら辺は自衛隊などの専門家でなければ分からないだろう。

つまりは、人間が捜索していて機雷或いは爆弾発見などとなってしまったら、
金属探知機から出る磁気でも爆発する可能性がある訳だし、
何も見えない海中で手で触れることによって爆発する可能性もあった訳だ。
と思う・・・。

事故を起こさない為の捜索自体が、今になって考えてみれば、
非常に理屈に合わないと思うのだが・・・。
やはりこの場合、
海底に眠る普通の爆弾探しという事に限定して考えるしかないのであろう。

幸い、爆弾を発見した事はないが、
東京湾では機雷を繋留する部品を見つけた事はある。
そして、伊豆七島のある島の海底には数多くの砲弾が無数に眠っているのを見た。
60センチ砲、80センチ砲の砲弾が、それこそいくらでも転がっているのだ。
これなどは終戦時に投棄された物なのであろうが、
現在も処理出来ずに、黙認の事実となっているのであろう。

それにしても最近、夏が近づく度に思うのであるが、新聞は別としても、
TV放送などで戦争特番などが放映される事が極端に減ってきているような気がする。
TV局なども世代交代が進み、
戦争などの事実を伝えようとする人間が減ってきたんでしょうね。
戦争を経験した世代が亡くなっていき、事実を伝える人間がいなくなる。
その先は我々戦争を知らない若い世代も伝えていかなければならないだろう。

現在、中学生、高校生の世代の一部に、日本で戦争があった事を知らない人間がいる事実。
学校の教科書には載っているのであろうが・・・。

僕には別に、右寄りの思想は無いが、
修学旅行などで外国に行って日本の恥部を晒すよりも
各地の戦争資料館などを見学させる方が先ではないかと思うのだが・・・