ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

〈罰金と非国民〉のレッテル

2014-03-02 07:49:37 | 日記
NHK籾井会長の一連の言動には腹が立っていますが、連続テレビ小説「ごちそうさん」は、
毎日観ています。

1日の放送。
「なだそうそう」とまではいきませんが、「なみだ ポロっ」でした。
ドラマ内容に涙したというよりも、自分が経験した、あの「戦時中」の状況を思い出して
涙したのかもしれません。

め以子の夫・悠太郎が、町の防空訓練で、訓練参加者に、
〈火を消さずに逃げるよう指示した〉
ということで逮捕されました。
友人の力添えにより釈放は されましたが、軍属として満州派遣という処分がなされます。

め以子が、乏しすぎる食材で「ごちそう」を作り、夫に食べさせる様子、
また周囲の者たちの思いやり………どの一つを取ってみても胸がつまりました。

【検証 防空法】(水島朝穂・大前治 共著)を読みました。
水島教授は、防空法制研究の第一人者で、大前治氏は大阪空襲訴訟弁護団の弁護士です。
ドラマの中での言及はありませんでしたが、当時『防空法』というものがあったことを、
この本で知りました。

『防空法』は
     〈都市からの退去を禁止する〉(8条ノ3)
     〈空襲の時は逃げずに消火をせよ〉(8条ノ5)
     などと規定された戦時下の法令で、
     違反した者には、最大で懲役6カ月、
     または罰金500円(当時の教員の給与9ヵ月分)が課せられたそうです。

そして、政府刊行物には、
     〈焼夷弾は、手でつかんで投げればよい〉
     〈毒マスクは不要。長さ1メートルのハタキで火を消せる〉
     等の、およそ不可能な対処法が書かれていました。
     徹底した情報統制で、空襲への安全神話が、つくられていたのです。

驚きました。
今、あらためて驚きました。
戦陣訓により捕虜になることが禁じられていた日本兵だけではなく、
『防空法』により私たち国民も、いのちを守るために、逃げたくても逃げられなかったのです。
逃げれば「非国民」のレッテルです。

昭和20年の4月、私の住んでいる町が初めての空爆をうけ、多数の死傷者をだしました。
化学工場で学徒動員として働いていた学生たちも数十人、爆死したのです。

我が家では、勤労奉仕隊として働かされていた姉が、体調をくずして伏せっておりましたので、
市街地から12キロほど離れた村へ疎開しました。

父は、一人家に残りましたが、今、「防空法」というものがあったことを知りますと、
父には「防空法」の規制がかかっていたのかもしれません。

「禁じ手」さえ使っても、集団的自衛権を思うままに変えたい安倍政権。
私たちは、自分の子や孫が、戦争で いのちを奪われていいのか、この視点に立って、
政治の動向を注視しなければいけないのだと思います。 
                                 〈ゴマメのばーば〉


コメント
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