golf130のクラシックお笑い原理主義

オッサンのしがない日常や妄想話とその日聴いた音楽。

マシューズ「冥王星」

2008-03-05 08:44:43 | Weblog
「ハシゴを外された!」、この曲の嘆き?を今日は聴いてみましょう。

冥王星は、1930年にトンボーというアメリカの天文学者人が発見したそうです。発祥からして、冥王星の将来を暗示していますね。何しろトンボーは「哀悼曲」の意味ですから。

発見以降、冥王星は「水金地火木土天海冥」という太陽系の一員として、安定した地歩を占めていた…はずであった。

「冥ちゃんもホント良かったよね、9大金融機関に就職出来て」。
「いや陽子おばさん、とんでもないすよ。『土銀』のような大手や『地銀』みたいに小さいけど財務体質のいいとこに較べたら、ウチなんかいつ吹っ飛んだっておかしくないですよ。『金銀』なんか規模は小さいけど、スゴイ儲かってるらしいし」

安定した金融機関に職を得て将来安泰だという周囲に対し、漠然とした不安を払拭出来ない冥太だった。

「冥ちゃんスゴイぞ、スゴイ!。遂に、海銀より上位になったじゃないか」。ある日、伯父の月男が珍しく興奮して電話して来た。確かに経常利益で『海銀』を上廻り、長年序列の決まっていた金融機関としては革命的なこととしてマスコミにも大きく取り上げられたこともあった。
いつもは謙虚な冥太も「海銀にしたって、天銀にしたって、貸し膨れで金融体質的には脆弱ですからね」
この時ばかりは、強気の言葉が口を吐いて出てきた。

さて、ホルストは当時未発見だった冥王星と地球を除いた7惑星の名を冠した「惑星」を作曲。通常はこれが演奏されますよね。

これに後年マシューズという人が、一曲付加し「惑星」を完全版とした。それがこの曲。
ロイド=ジョーンズ指揮、ロイヤル・スコティッシュ管&女性合唱団(NAXOS盤)。

冥王星の発見以降、太陽系は9惑星というのが常識となり、我々も学校で「水金地火木土天海冥」の呪文を暗唱させられて来たのである。
ところが天文学の急速な進展により、冥王星クラスの星がいくつも発見された。そして遂にそれを凌ぐ大きさの物も登場するに至り、2006年国際天文学連合はそれを「準惑星」に格下げした。

そしてこの曲も存立根拠を失った。「だから原典を大切にした方が良い、ってあれほど言ったでしょ!」クラ原主義者の声も聞こえて来る。
ヒット曲にも転用された「木星」とは、あまりにも対象的な数奇な運命ですね。
7分弱の曲ですが、神秘的な前半部に途中ダイナミックな盛り上がりもあり、最後には女性合唱も入る。「惑星」のダイジェスト版のような曲。

都心の一等地に冥九郎兄弟の雑居ビルはあった。
飲食店の水江、消費者金融の金太、材木卸業の木久男…皆それなりに羽振りは良かった。冥九郎一人を除けば。

定職の無い彼は兄弟達のビルの屋上に小さなプレハブを建てて貰い、そこに寝起きしていた。居住空間としては狭く、寒暖の差も大きかったが、都心で便利も良いし、屋上からの眺めも多彩で見飽きることがなかった。夏の花火、冬の星空(都会なので明るい星しか見えなかったが)も楽しみだった。その住まいに満足し、兄、姉達に感謝もしていた。このままここで一生を終えることにもなんの疑念も抱いていなかった。

ところがである。建築基準法やら消防法やら関連法規の大規模改正があり、彼の住まいは撤去しなければならなくなった。

冥九郎の運命やいかに?、そしてまた、この曲の行く末は?

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