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ショスタコーウ゛ィッチ「交響曲4 番」バルシャイ

2008-03-08 18:44:46 | Weblog
原曲は果して全てオリジナルと言えるのだろうか?

バルシャイ指揮、ケルン放送響(Brilliant Classics盤)

政治的な制約がなかったら果してどんな音楽を生み出したのだろう?と興味をそそられるのがショスタコーヴィッチです。

通常、作曲家が心中に抱いた音楽が五線譜に印される訳です。しかし、何らかの理由で浮かんだ楽想を表出することが出来なかったり、音符にする段階で歪めざるを得ない場合、或いは意にそぐわない楽曲を捻り出すような例もあるのですね。ショスタコーヴィッチがその代表例でしょう。

この4番は1936年に作曲されたが、当局の批判を恐れ、やっと初演されたのは四半世紀後。
プラウダ批判によりこの曲を隠匿し、手掛けたのが最もポピュラーな第5番の交響曲。人気曲かもしれませんがそれほどの名曲か?ショスタコーヴィッチが「書かざるを得なかった楽曲」だからでしょうか。

それに対して4番は一般的な認知度は5番、7番などと較べると低いですが、彼の交響曲の中でも屈指の凄い曲の一つだと思います。ショスタコーヴィッチが比較的「描きたいものを書いた」作品のように思えます。
ただ、曲の出だしはちょっと嫌い。名曲に相応しくない俗っぽい響き?しかしちょっとの間我慢すれば大丈夫(笑)勇壮な主題の後、多彩で複雑な展開がされて行きます。マーラーの影響を受けているそうで、似た響きも聴かれるが、全体としては完全にショスタコービィッチ独自の語法でしょう。

出だしと反対に絶品なのは終楽章の長いコーダ。弦楽器の穏やかな響きに乗ってチェレスタが静かに響く幽玄の世界。

こんな音楽を聴いていると、政治的な制約無しに作曲出来たらいったいどんなに素晴らしい傑作を残したのだろうかと、また考えてしまいます。

ところで、WikiPediaを見たら、この曲は総譜を紛失、パート譜から復元したと書かれており、クラ原主義者としては、それが原曲を忠実に再現しているのか?、ちょっと気になり出しました(笑)。

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