昨日の続きです。
アメリカのマスコミでは"Port Deal"と呼ばれてるようです(もちろんdealの中身はPortだけじゃないのですが、自分に近いところに関心が向くというのも万国共通ですね)
NY Timesでは、ドバイの反応を記事にしています。
Dubai Sees Bias Behind Storm
内容的には予想どおりではあります。
「ここまで大きな反響には驚いたが、ドバイも国際舞台のプレイヤーとして認知されるようになったということだろう。同時にこれは1992年以来アメリカが布教(teaching, preaching and promoting )してきたグローバリゼーションが本物かどうかのテストでもある」
(Forbes Arab編集長 スレイマン・アル=ハッタン)
「人種差別主義以外の何物でもないではないか」
(UAE高官)
「これだけの規模のディールに批判が一つもないはずはないが、DPWはとてもうまくやっていると思う。DPWもドバイの他の企業同様オーナーはアラブ人だけど経営者はイギリス人や外人だしね」
(ドバイのアナリスト)
「アメリカ人は一つの基準で物事を判断すべきだ。アブ・グレイブ刑務所で起きたことは一部の不届き者の犯罪だと言うなら、マルワン・アル=シャヒー(9.11のハイジャッカー)のやったことを国全体の責任にできないはずだ。」
(首長国連邦人権協会副会長 ムハンマド・アル=ロケン)
また、ABCニュースは、
Would Arab-Owned Company Really Pose Port Risk?という記事で、
DPWに買収されたからといって、本当に港湾の安全が悪化する可能性はないのではないかと言っています。
合衆国向け貨物船はまず沖合12マイルに達したところで沿岸警備隊のチェックを受ける。沿岸警備隊は合衆国領海内の全ての艦船を臨検する権限がある。
港に入港すると、税関の管轄下に入り、係官がマニフェスト(積出港・目的地・内容を書いたもので、積出港で船積みの24時間前に作成され予め送信される)をコンピュータでスキャンし、積荷に危険物がないかをチェックされる。
実際に荷物を確認するのは全体の5~7%で、銃器や麻薬が疑われるものはX線検査を受けたり、放射線物質については検知器で精査される。
P&Oのような会社はこうやって税関を通過した荷物を荷降ろしするのが仕事であり、従業員はユニオンに加盟しているため会社の支配権が移動したからといって変わるわけではない。
まあ、考えてみれば当たり前のような感じもします。
港湾労働はユニオンが強い影響力を持っている業態ですし、6つの主要港を任されていたということは、P&Oが労務管理においてユニオンと友好的な関係を築いているわけです。
株主が変わって、マネジメントのスタイルを変えてもメリットはないでしょうし、あえて従業員を変えようとすればユニオンの大反発をくらうはずです。
その辺は買収するDPW側のリスク要因でもあるので十分にディューディリ(精査)したはずですから、現在うまく行っているオペレーションを変えることはないはずです(もし現状で赤字なら、喜んで撤退を表明しているはずですし)
アメリカ国内で政局化しなければ、意外と早く収まってしまうかもしれませんね。
<参考>
ABC Newsに寄せられた声が
こちらにありますのでご参考まで。