一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

混迷を深める一澤帆布

2006-03-01 | M&A

一澤帆布がかばんの製造休止
(2006/3/1/22:59 大阪日刊スポーツ)

手作りの布製かばんで人気の「一澤帆布工業」(京都市)が、相続をめぐる“お家騒動”の影響でかばんの製造を休止したことが1日、分かった。前会長の故一澤信夫氏の三男で昨年12月に解任された前社長信三郎氏は、従業員を率いて新会社の設立準備を進めており、京都ブランドの老舗が分裂する可能性もある。  

解任後も同社の工房でかばん製造を続ける信三郎氏側に対し、代表取締役に就任した長男信太郎氏が工房の明け渡しを請求。京都地裁が明け渡しを認める仮処分を決定し、同日、強制執行された。

以前のエントリでも紹介したのですが、一澤帆布の相続争いは激しさを増す一方のようです。
今回は株を長男が相続しているので株主利益ということは考えなくてもいいのでしょうが、「企業価値」(厳密な定義はおいておくとして)の観点からはここまで徹底して争うのは明らかにマイナスですね。

遺言書が真正だとしても、職人がついてこないのであれば、次男に売却するとか、自分は株主として次男に経営を任せるというのがビジネス上は得策だと思うのですが、「骨肉の争い」というレベルになると理屈じゃないんでしょうか。


(2009年6月27日追記)
2009年になって、長男への株の相続を認めた2通目の遺言書が無効とされたそうです。
一澤帆布 今度は三男の勝ち

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ダ・ヴィンチ・コードの盗作疑惑

2006-03-01 | よしなしごと
「ダ・ヴィンチ・コードは盗作」と提訴=出版差し止めの可能性も
(2006年 2月28日 (火) 00:17 時事通信)


当初のブームに乗り遅れたので、amazonで文庫版を予約しようと思っていたところにタイムリーな話題です(笑)

歴史を題材にした小説は、過去の研究成果を題材にせざるを得ないですし、登場人物と大まかな事実関係が動かせない以上、ストーリーも似てくる部分があるのも仕方ないことだと思います。

何をもってオリジナルとするのか、法律的には判断が難しいんじゃないかと思います、などと日本での判例の知識もないので一般論でごまかしてますが、興味を持ったのは

「なぜ、今?」

ということ。

出版差し止めなら出版後ブレイクした時点でしたほうが効果的だと思うのですが、考えられる理由としてはこんなもんでしょうか

① 「盗作」を立証できるかの法律的な根拠の確認に時間がかかった
② 著者にも経済的余裕ができたところに和解狙いで訴訟を提起した
③ 映画化で再度話題になっている時期に訴訟を提起することで、自分の著作の販促になると考えた

何となく②がメインでおまけに③、というあたりが動機じゃないかと思うのですが、どうでしょうか?




コメント (6)
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"Port Deal" その2

2006-03-01 | あきなひ
昨日の続きです。
アメリカのマスコミでは"Port Deal"と呼ばれてるようです(もちろんdealの中身はPortだけじゃないのですが、自分に近いところに関心が向くというのも万国共通ですね)

NY Timesでは、ドバイの反応を記事にしています。
Dubai Sees Bias Behind Storm
内容的には予想どおりではあります。

「ここまで大きな反響には驚いたが、ドバイも国際舞台のプレイヤーとして認知されるようになったということだろう。同時にこれは1992年以来アメリカが布教(teaching, preaching and promoting )してきたグローバリゼーションが本物かどうかのテストでもある」
(Forbes Arab編集長 スレイマン・アル=ハッタン)
「人種差別主義以外の何物でもないではないか」
(UAE高官)
「これだけの規模のディールに批判が一つもないはずはないが、DPWはとてもうまくやっていると思う。DPWもドバイの他の企業同様オーナーはアラブ人だけど経営者はイギリス人や外人だしね」
(ドバイのアナリスト)
「アメリカ人は一つの基準で物事を判断すべきだ。アブ・グレイブ刑務所で起きたことは一部の不届き者の犯罪だと言うなら、マルワン・アル=シャヒー(9.11のハイジャッカー)のやったことを国全体の責任にできないはずだ。」
(首長国連邦人権協会副会長 ムハンマド・アル=ロケン)


また、ABCニュースは、Would Arab-Owned Company Really Pose Port Risk?という記事で、
DPWに買収されたからといって、本当に港湾の安全が悪化する可能性はないのではないかと言っています。

合衆国向け貨物船はまず沖合12マイルに達したところで沿岸警備隊のチェックを受ける。沿岸警備隊は合衆国領海内の全ての艦船を臨検する権限がある。
港に入港すると、税関の管轄下に入り、係官がマニフェスト(積出港・目的地・内容を書いたもので、積出港で船積みの24時間前に作成され予め送信される)をコンピュータでスキャンし、積荷に危険物がないかをチェックされる。
実際に荷物を確認するのは全体の5~7%で、銃器や麻薬が疑われるものはX線検査を受けたり、放射線物質については検知器で精査される。
P&Oのような会社はこうやって税関を通過した荷物を荷降ろしするのが仕事であり、従業員はユニオンに加盟しているため会社の支配権が移動したからといって変わるわけではない。

まあ、考えてみれば当たり前のような感じもします。

港湾労働はユニオンが強い影響力を持っている業態ですし、6つの主要港を任されていたということは、P&Oが労務管理においてユニオンと友好的な関係を築いているわけです。
株主が変わって、マネジメントのスタイルを変えてもメリットはないでしょうし、あえて従業員を変えようとすればユニオンの大反発をくらうはずです。
その辺は買収するDPW側のリスク要因でもあるので十分にディューディリ(精査)したはずですから、現在うまく行っているオペレーションを変えることはないはずです(もし現状で赤字なら、喜んで撤退を表明しているはずですし)


アメリカ国内で政局化しなければ、意外と早く収まってしまうかもしれませんね。

<参考>
ABC Newsに寄せられた声がこちらにありますのでご参考まで。
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