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2006-03-07 | 法律・裁判・弁護士

提訴せず「勝訴」判決文偽造、弁護士を業務停止2年 (読売新聞) - goo ニュース
(2006年 3月 6日 (月) 20:18)

依頼者に「勝訴」したとうそをつき、偽造した判決文を渡したとして、東京弁護士会は6日、同会所属の石川勝利弁護士(40)を業務停止2年の懲戒処分にした。

同弁護士会によると、石川弁護士は2003年5月、都内の女性から、勤務先に未払い給与の支払いを求める訴訟の代理人を依頼された。ところが提訴を怠って放置し、女性の再三の問い合わせに、「12月に判決がある」「勝訴した」などと虚偽の報告を繰り返した。  

さらに翌04年1月には、請求全額の約235万円の支払いを命じる内容で、東京地裁の現役裁判官の名前が入った判決文を偽造し、女性に渡した。

石川弁護士は、女性を信じ込ませるため、弁護士費用を差し引いた約203万円を自腹で支払ったが、女性が同年5月、同地裁に判決文の再交付を求めたため、提訴していなかったことが発覚した。

ご本人のお名前といい、嘘のつきかたの脇の甘さといい、最後は自腹を切る気前の良さ(?)といい、ブロガーのために作ったかのようなおいし過ぎるニュースです。


でも、これって嘘のつき方の間抜けさとか損害を補填したことはさておき、依頼者の信頼の根幹を裏切っていると思うのですが「業務停止2年」というのは懲戒のランクで言うとどれくらいの厳しさなのだろうか、と日弁連のHPをみると

弁護士に対する懲戒の種類は、次の4つです(同法57条1項)。

1.戒告(弁護士に反省を求め、戒める処分です)
2.2年以内の業務停止(弁護士業務を行うことを禁止する処分です)
3.退会命令(弁護士たる身分を失い、弁護士としての活動はできなくなりますが、弁護士となる資格は失いません)
4.除名(弁護士たる身分を失い、弁護士としての活動ができなくなるだけでなく、3年間は弁護士となる資格も失います)

懲戒請求事件の処理状況というページもあるので見てみると

懲戒請求事件処理の内訳(弁護士会)

新受 既済
懲戒 不相当 除斥満了 却下・終了
戒告 業務停止 退会命令 除名
1年未満 1~2年
1995 576 17 14 1 5 2 39 422 9 80
1996 485 16 6 1 3 1 27 402 7 52
1997 488 11 19 4 1 3 38 381 9 23
1998 715 19 16 4 2 2 43 440 4 40
1999 719 17 20 7 5 3 52 479 11 24
2000 1030 17 12 4 7 1 41 690 25 26
2001 884 34 20 4 4 0 62 778 19 38
2002 840 28 22 10 3 3 66 674 22 49
2003 1127 27 23 2 3 4 59 822 ※1 却下69
終了23
2004 1268 23 19 2 3 2 49 1023 - 却下1
終了19

※1=除斥満了については2003年より「却下」・「不相当」に含めた。

と、「2年の業務停止」は実際に下された処分の中では重いほうなんですね。
でも、この程度では退会命令とか除名のような「弁護士として失格!」という判断でないのか?というのはちょっと意外でもあります(では退会命令とか除名ってどんなことやったんだろうか、というのは興味がありますね)


ところで、これを見て驚くのは懲戒処分の件数はほぼ横ばいなのに、ここ数年の新規受理件数が急増している事です。

弁護士の先生方も無理筋な訴訟を引き受けたあげくに、敗訴したら懲戒請求されるのではたまったものではありませんね(テレビ番組で庶民の「訴えてやる!」という権利意識を高めた副作用では?)

コメント (3)
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