一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

Katrinaの教訓

2005-09-06 | 天災・人災
ハリケーンKatrinaは、数千人にのぼる犠牲者、しかも犠牲や被害が低所得者層に集中していること、救援活動が機能せず一週間以上たってやっと軌道に乗りつつあることなど、世界一豊かであるはずのアメリカの矛盾点を浮き彫りにしています。

このような事態に至った原因としては次のような事があげられています。

1 ハリケーンによるニューオーリンズの被害のリスクは以前から指摘されていたにもかかわらず、治水対策がなされずに放置されてきた。

経済学者のポール・クルーグマンのNYtimesへのエッセイによれば
9.11の前に連邦危機管理庁(FEMA)はアメリカが直面している可能性の高い大災害として、ニューヨークへのテロ攻撃、サンフランシスコの大地震、とともにニューオリンズへのハリケーン直撃があげられていたそうです。
※一応リンクはしてますが、一定期間後は登録ユーザーしかダメなようです。内容をご覧になりたい方はTaejunomicsさんのblogに翻訳があります。


2 ハリケーンの進路は予測されていたのに、住民の避難が円滑に進められなかった

被災地域は低所得者層の居住地区であり、市長の避難命令に対しても自動車等の移動手段を持たないために避難ができなかった。
また、ニューオーリンズ市も輸送手段を(十分に)提供し(でき)なかった。


3 救援活動や災害復興支援が迅速に行われていない

州兵や機器の多くがイラクに派遣されている。また連邦政府、FEMA、ルイジアナ州、ニューオーリンズ市の連携がうまく機能していない。
市内で略奪、暴動が発生し、救援活動の前に治安維持に忙殺されてしまった。


ということで、今回のハリケーンはブッシュ政権やアメリカ自身がかかえる矛盾点を浮き彫りにしてしまったわけです。



ただ、この貧富の格差や地域格差の問題、国民の安全に対する政府の役割と予算配分の問題などは、ニューオリンズほどわかりやすい形では表れていないにしろ、現在の日本にもあてはまるように思います。


たとえば

 都市部の木造住宅密集地域(道路も狭くて消防車も入れないような)における火災の危険性と経済的事情で住まわざるを得ない人々の問題

 過疎地のきわめて少数のしかし高齢で引越しも困難な居住者の安全を確保するための高額の護岸工事

 河川改修の順序(一部を改修すると未改修の部分への負荷が高まる)の問題

また

 被災地救援活動における物資の均霑や優先順位の問題(日本の大都市の場合密集度合いが違うのでもっと先鋭化するのではないか)

などなど


本当はこっちを本題にしたかったのですが、ところとりとめもなく話が広がりそうなので、今日は頭出しだけにします。
(明日以降どこまでまとまった話ができるか保証の限りではないですが)


コメント (2)
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