「そして父になる」は、とってもとってもつらい映画で、ほんとにこんなことがあったのか、って日本の出産について再検討するべき課題をたくさん描いている見事な映画。
7歳まで両親のもとでふつうに育った男子が、実は出生の時にほかの家の子どもと取り違えられて、生みの親ではない違う親のもとで育ったんだけれど、事実が発覚したのでもとも血縁の親のもとに戻して育てようっていう話。
↓自分の子どもの時と同じ顔の子どもは間違いなく自分の子どもだと思ったりして・・・・
そもそも、日本みたいに、生まれたばかりの新生児を親からはなして、数日間でも大人数の部屋で新生児だけで育てるっていう発想が間違ってるし、人間をなんだと思ってるんだっていう国の姿勢が許せないのである。間違えたら困るから足とかに名札つけたりして、強制収容所じゃないんだから、新生児でも人間の尊厳を尊重するべきだと思うんだけれど。
この映画では、高学歴で仕事ばっかりの父親が「親」としては超いけてない存在なんだけれど、彼が変わっていくのが映画を通じて見えてくるのはいいかんじ。まあ、企業戦士はああいうかんじだったんだろうし、妻に家庭のことを任せるっていうのはそういうふうな社会的強制だったのだ。他方、妻は、ほんとにえらい人で、ひたすら耐えて、がんばって、なんとも忍耐強いかわいそうな人なのである。
面白い視点は、お金持ち高学歴の家庭はいまいちうまくいってないけれど、貧乏でもみんなで和気あいあいとしてるほうがいいっていう点。このコントラストはかなり見事。ピアノを学ばせられるなんてほんとに贅沢だし、しゃぶしゃぶ?だかなんだかわかんないけれど、上等な肉を食べてるシーンを見ると、格差を感じるのである。で、なにがいいかというと、ピアノや上品な肉は幸せを確保してくれないっていう点。
我が家も、にぎやかという点では、まったく同じだなあ、お金持ちではないけれど、子どもが4人いて大人も4人いて、賑やかでうるさくてなんともすごい集団生活だけれど、とっても楽しいし、幸せだなと思うのである。