玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

撮られた写真の記憶

2009年06月06日 | 日記
 「まだまだっ! 柏崎プロジェクト」がこのほど発行した『復興のススメ後世へ』に、越後タイムス社は何点かの写真を提供した。全部で九点が掲載されているが、自分自身で撮った写真も四点あって、それを見ると当時の状況が昨日のように思い出される。
 特に海上から撮った椎谷の観音岬と、鴎ケ鼻のすさまじい崩落の様子は、地震の威力をよく示していると思う。人間というものは写真を撮った時の周りの状況や自分自身の心理状態をよく覚えているもので、写真を見ればすぐに当時の記憶が甦ってくる。
 ところで、『復興のススメ後世へ』の本文最初の写真に自分自身が写っているのに気がついた。被害のひどかった東本町三丁目の四谷踏切近くの倒壊した家屋の側で、三井田保険部の小林克人さんと何か話している写真だ。商工会議所の人が撮影したものらしい。
 雨も降っていないのに傘を手にして、カメラはぶら下げていない。この写真がいつの写真で、なぜここに居たのか、何をしていたのか思い出せない。道路がきれいになっているところを見ると、地震発生後数日経っていることが分かるが、確かなことは思い出せない。
 茫然としたような表情を浮かべているが、その時何を考えていたのか思い出すことができない。自分が撮った写真からは多くの記憶が甦ってくるのに、自分が撮られた写真からは、あまり記憶が甦ってこないことに気づくのだった。
 あの写真を撮りまくった日から、二年目の日が近づいてきた。

越後タイムス5月29日「週末点描」より)



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