玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

バイクが象徴するもの

2009年10月31日 | 日記
 「浜のほうではなんかやってるようだども、おらみてな婆さんが行くとこではねえげだ」と、近所のお婆さんが話していた。この三連休に、みなとまち海浜公園で開かれたバイブズ・ミーティングのことを言っているのだ。
 この間、十七日からの展覧会の作品飾り付けに忙殺された。あちこち車で移動しているうちに、まちが大型バイクに席巻されていることに気付いた。ハーレー・ダビッドソンの雑誌「VIBES」が主催するお祭りに、日本中からバイク野郎が柏崎に集結しているのだった。
 大型バイクの加速音は、漫画などで表現される“ブロロォォオ”という感じそのままで、腹の底まで響いてくる。アイドリングの音も“タンタンタンタン”と低く、重い音を響かせる。この排気音に多くの男たちはしびれるのだろうと思った。
 一方、女性たちは「うるさくて嫌だわね」などと言い、「何のために集まっているのかしらね」などと厳しい。バイクに関しては、男女の興味の落差が大きいと感じたが、参加したライダーの中には、若い女性もいた。
 しかし、ほとんどが中年の男性である。ハーレー・ダビッドソンは車より高くて、一台一千万円以上もするらしい。だから所得の低い若者には、とうてい買うことができない。どうしても生活の安定した中年以上の男性ライダーが多くなる。
 そんなおじさんたちが、革ジャンを着て、ヘルメットをかぶり、サングラスを掛け、爆音を響かせて、まちを走り回るのだ。楽しくてしようがないんだろうなと思った。バイクのツーリングというものは一人孤独を噛みしめながらやるものと思っていたが、近頃ではこうして“群れたがる”傾向があるという。
 バイクといえば、映画「イージー・ライダー」を思い出す。バイクは“自由”を象徴し、二人のライダーは“自由”を忌み嫌うアメリカの保守的な住民に射殺されてしまうのだが、柏崎に集まったライダーたちは、いったい何を体現していたのだろうか。

越後タイムス10月16日「週末点描」より)


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