玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

古浄瑠璃復活初演へ

2009年04月15日 | 日記
 七日、市内新橋の「游文舎」で開かれた古浄瑠璃のイベントは、非常に内容の濃いものだった。早稲田大学名誉教授の鳥越文藏氏の講演、そして六月七日に三百年ぶりに全段復活再演される「越後國柏崎・弘知法印御伝記」の一部と、「小栗判官照手姫車曳きの場」の上演、さらに鳥越氏と越後猿八座の越後角太夫氏、西橋八郎兵衛氏の鼎談はとても充実した内容で、画期的なものだったと思う。
 越後タイムス編集発行人として「游文舎」に関わっているが、このイベントには直接タッチしていない。それでも打ち上げに参加させてもらった。八十歳に近い鳥越先生の酒豪ぶりに驚いてしまった。「講演料なんかいらない。おいしいお酒を飲ませてもらえればそれでいい」というのは本当だった。楽しい会だった。歴史音痴だし、古典芸能にそれほど興味があるわけでもない。
 しかし、越後猿八座のやろうとしていることは、単に伝統の継承ということではない。三味線弾き語りの角太夫さんは、「弘知法印御伝記」の復曲に取り組んできたが、譜面が残されているわけでもなく、ほとんど新しく作曲をしているようなものだ。八郎兵衛さんの操る人形は自分で作ったものだというし、その動かし方だって、三百年前の所作が記録されているわけもない。
 「弘知法印御伝記」の復活再演は、伝統継承というよりも、新たな文化創造活動といえるのかも知れない。越後猿八座による三百年ぶりの復活再演に大いに期待したいところだ。
 古浄瑠璃の大きな特徴はその“娯楽性”にある。決して高尚なものではなく、見ていてとても面白い。もちろん、テレビも映画もなかった時代の庶民の娯楽であったに違いない。そんな娯楽性を遺憾なく発揮している「越後國柏崎・弘知法印御伝記」の発見者である鳥越先生の講演録を、しばらく掲載させていただく。

越後タイムス3月20日「週末点描」より)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「おくりびと」の波紋 | トップ | 胎盤を食べる! »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事