玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

ナスはいらんかね

2008年10月17日 | 日記
 二週間に一度、市内田屋の先生から「ナスはいらんかね」の電話がかかってくる。先日、五度目の電話があり、休日の早朝、ナスをもらいに行ってきた。一回に米袋一つ半から二つくらい収穫できる。一袋に十五キロくらい入るから、今までに百二十キロくらいもらった勘定になる。そんなに食べられるわけはないので、仲間と山分けする。
 先生も奥さんと二人住まいで、食べきれるわけもなく、余ると穴を掘って埋めてしまうのだそうで、もったいないからもらいに行く。漬物用のナスで、本来小さいうちに収穫するものというが、二週間も経つと十五キロくらいに巨大化したものも穫れる。
 この夏から、どれくらいナスを食べたか分からない。小さいものはぬか漬けや塩漬け、あるいは辛子漬けにする。中くらいのものはナスの田楽やナスの塩辛にして食べる。大きいものは麻婆ナスにすると柔らかくて大変おいしい。一度に五品ものナス料理が食卓に並んだ日もある。それでも飽きない。
 麻婆ナス以外は、家人の担当で、とりわけ漬物は年寄りが受け持っている。年寄りは手間を惜しまないから、ナス漬けも“ナス漬けのもと”なんか使わない。だから大変おいしく仕上がる。半年がかりで奈良漬けにも挑戦している。年寄りの存在はありがたい。
 ところで、一度収穫作業中、虫除けスプレーをかけたにも拘らず、強力なブヨに攻撃され、顔や手をボコボコにされてしまったことがある。鏡で顔を見ると、あちこちが膨れ上がって、顔が変形してしまうほどの被害だった。野田地区のブヨはとりわけ強力なのだそうで、気を付けなければいけない。
 しかし、秋が深まるとともにブヨもいなくなり、ブヨのブンブン飛ぶ音も、いつしかコオロギの鳴き声に変わっていくのだった。

越後タイムス10月10日「週末点描」より)