玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

県内初、知られざる巨匠展

2008年06月07日 | 日記


 越後タイムス社は、十四日から二十九日まで、市内新橋の中央ライフセンター内游文舎で、「いのちのつぶやきが聞こえる・菅創吉展」を開催する。県内では初の紹介となるもので、一昨年長野県東御市・梅野記念絵画館での回顧展に次ぐものである。
 菅創吉は、明治三十八年兵庫県姫路市生まれ。幼いときから絵を描いていたが、本格的に画家を目指したのは五十一歳から。五十八歳で渡米、ロサンゼルスやサンフランシスコなどで個展を開き、六十一歳でニューヨークに進出。アメリカで認められて六十七歳で帰国した。典型的な大器晩成型の画家である。
 その作品は、圧倒的なマチエールで観る者に迫る。と同時に、誰も見たこともないような大胆かつ計算されたデフォルメを特徴とする。時には金属のような、あるいは古代遺跡から発掘された遺物のようなマチエールは、観る者を驚かせるだろう。大胆なデフォルメは、「こんなことがあり得るのか」という感じで、観る者の感性を不可能に向けて解放するに違いない。
 創造力の極地を示すそれらの作品は、まさに“知られざる巨匠”の作品と呼ぶべきものだ。今回の「菅創吉展」は、「木下晋展」に引き続いて、文学と美術のライブラリー「游文舎」のオープニング企画第二弾として開催される。油彩、立体作品約三十点を展示する。


 監修は、小田原の「すどう美術館」。同館の館長・須藤一郎氏は、菅創吉の絵に出会ったことで、平凡なサラリーマンから大きく人生を変えてしまった人だ。菅の作品を蒐集し、「世界一小さい美術館」をつくってしまった。銀座に「すどう美術館」を開設して十年、若い作家の育成につとめているが、昨年小田原に引っ越した。十四日午後二時から、須藤一郎氏の講演会「菅創吉・ユーモアとヒューマンな愛」を開く。参加費は五百円。問い合わせは游文舎(電話35-6881)へ。
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