玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

青島みかんの話

2008年02月05日 | 日記
 “ああ、あの青い箱の”とすぐに気が付いた。「青島みかん」が市民に届けられるというので、一個食べてみたいと思って取材に行った。生来のものぐさで、皮を剥くためにナイフを使わなければならない果物はあまり好きではないが、手で皮を剥ける果物は好きだ。
 バナナが一番皮を剥きやすくて大好きだ。柑橘類も好きで、特に伊予柑やデコポンを好む。冬みかんも皮を剥きやすいので好きな果物のひとつである。しかし「青島みかん」がどんなみかんなのか認識していなかったので、試食を兼ねての取材だった。
 「青島」を“地名”と思い込んでいたが、そうではなかった。静岡県の青島平十という人が、五十年以上前に枝がわりを発見し、有望品種として育て特産品となったみかんなのだという。産地名でなく人の名前のついた品種名など、そうあるものではない。青島さんはきっと立派な人だったのだろう。
 物欲しそうな顔をしていたせいか、市の復興支援室の職員が一個渡してくれた。「味見をしないと記事が書けませんからね」と聞かれもしないのに言い訳をした。まさか、仮設住宅入居者にもらいに行くわけにもいかないので、作戦成功であった。
 さっそく取材後、車の中で試食してみた。やや大ぶりで扁平、皮は非常に剥きやすい。何といっても浮皮が少なく、ほとんど気にせず口にほおり込める。濃厚な甘味がある。すっぱい柑橘類も好きだが、冬みかんは糖度の高い方がいい。
 「これはいける」と思い、スーパーで買って食べた。残念ながら鮮度が落ちていて皮も剥きづらく、甘味も薄かった。やはり静岡から直接届けられた産地直送品にかなうものではない。

越後タイムス1月25日「週末点描」より)


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