玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

中国が怖い

2007年05月24日 | 日記
 九日に発生した光化学スモッグにはびっくりしてしまった。東京でも近頃は発生していない光化学スモッグが、なんでこの田園地帯である新潟県で発生しなければならないのだ。
 県が光化学スモッグ注意報を発令したと聞いて、“そんなばかな”と思ったが、中国から運ばれてくる汚染された大気が原因と聞いて、納得すると同時に背筋が寒くなった。三カ月前に経済発展の著しい中国上海を訪れたばかりだ。車の排気ガスと、工場の煤煙によると思われる薄汚れた空気に、“いったいこれからどうなるのだろう”と慄然としたことを覚えている。
 中国をめぐるスキャンダラスな事件が続いている。“にせものディズニーランド”なんかはまだ可愛い方で、中国製の薬剤で死者が出ているとか、中国製のペットフードで大量の犬や猫が死んでいるとかいう話が伝わってくる。
 薬やペットフードに関しては、それを使用しないという選択ができるが、人間として生きている以上、大気を吸わないという選択はできないから、どうしてみようもないではないか。
 黄砂もそうだが、汚染された大気も、いやおうもなくまず日本海側を直撃する。かつて“裏日本”と呼ばれた地域は、なんでこんなものを受け入れなければならないのだろう。
 進出の続く日本企業の責任もあるのかも知れない。しかし、日本企業は一時も早く中国に環境対策の技術を輸出しなければいけない。公害が一国の内部で完結する時代は終わった。光化学スモッグによる被害が県内で多発多発し、市内でも被害があったことを考えると、環境問題が国境を越えた問題であることを実感させられるのであった。

越後タイムス5月18日「週末点描」より)